半月城通信
No.135 (2008.8.25)

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    目次

  1. 日韓会談における竹島=独島問題
  2. 竹島=独島問題解決への第一歩
  3. 君島和彦教授の指導要領解説書批判
  4. 下條正男の論説を分析する
  5. 竹島=独島問題ネットニュース 15号

  6. 日韓会談における竹島=独島問題  2008/ 5/31 Yahoo!掲示板「竹島」No.16728   半月城です。   どうも、日韓会談における日本側の発言は矛盾しているようです。1962年の金・大平 会談で韓国側が「第三国による調停」方式案を提示しましたが、これに対する日本の反応 は puracyaka2007が書いたように下記のとおりです。        -------------------- 6. 独島問題  日本側の国際司法裁判所に対する提訴提議に対して、韓国側は1962.11.12.金・大平会 談で第3国による調停 (mediation)という代案を提示したが、これに対して日本側は「調 停機関による調停」即ち国際法上の協議の調停(conciliation)で、一定の期間(例えば1 年)の間に解決を見られない場合には、国際司法裁判所に提訴しようという立場を取って いる(注1)。        --------------------   その後、不思議なことに日本側代表は1964年の第7次会談において「日本政府として は第三者の調停に関心を持ったことはない」として、こう発言したようです。        -------------------- 5.独島問題に関して   韓国側は、独島は共同規制水域の外に位置することになり、平和線と関連がなくなっ たので、日本側にも実質的な利害がなくなったことを示唆する一方、領土権に関する問題 なので韓国の国民感情が非常に深刻で、したがって平和線問題に結びつけて独島問題まで が論議されるなら、韓日間の問題をより複雑にし、むずかしくするだろうと強調した後、 一時示唆されたという第三者の調停も韓国の与論は受け入れないだろうと思われる点にか んがみて、日本政府としてもこの点を慎重に考慮し、韓国内の与論も直接把握しながら解 決策を研究してほしいと述べた。   日本側は、日本政府としては第三者の調停に対して関心を持ったことはないが、これ は第一に、その結果に対する遵守の可能性がとても希薄で、第二に、第三国として米国を 予想するが、そうなると韓日間の問題が米国の影響下で解決される印象を与えることにな り、日本の野党の反対が強いと思われるので、日本政府としてはGOOD OFFICE,MEDIATION, CONCILIATIONだけでは駄目だという立場、即ち問題を確実に解決する方法を希望してい るが、これに対して継続して研究して見ると言った。   また日本側は独島問題はPR問題もあるので、外相会談のような高位層間の解決方式 が良いという立場を表明した(注2)。        --------------------   この記録を読むと、日韓両国は「第三者による調停」に乗り気でなかったことがわか ります。特に、日本は「野党の反対」などを理由に調停方式だけではダメだと拒否しまし た。案の定、日本政府の予想どおり、社会党の羽生三七氏などは調停方式に反対しました (注3)。   結局、実務者同士では解決がむずかしいということで、竹島=独島問題は外相会談へ 預けられることになりました。1964年2月にソウルで開かれた会談ですが、李東元外相は 椎名外相に対し「あなた方は何のために、それ(竹島=独島)についてしょっちゅう言い がかりをつけるのかと滔々と述べた」ようです。   もともと竹島=独島問題は日韓会談の当初の議題になかったのに、日本が途中からそ れを持ちだして最後までねばる姿勢は李外相にはゴリ押しとうつったことでしょう。1965 年、李外相はついに堪忍袋の緒が切れたのか、次のようにダイナマイト発言を放ちました (注4)。        --------------------   外相会談ですべての問題が妥結された後に、椎名外相が私に独島に対する韓国の領有 権を否定するものではないが、独島問題を一種の韓日間の紛争の対象として認めて、第三 国か、または国際裁判所にまかせて、今後 審議をうけるというところまでは合意してく れ、といった。   私はその場ですぐ立上がって椎名外相にいった。私がこのたび愛国国民たちからタマ ゴまで投げられながら、日本にきたのは韓日間の明日の親善関係のため、調印する目的か らだ。   それにもかかわらず、あなたは独島問題によって韓日問題の妥結を阻むのか。日本に おいて独島問題は政治問題であるかも知れないが、韓国においては国民感情を爆発させる ダイナマイトだ。独島問題についてもう一度言及するなら、私は荷物をまとめて韓国に帰 る、このような話をしたことがあります。  (韓国国会「韓日協定特」議事録、1965.8.9)        --------------------   李外相の啖呵はさぞかし迫力があったことでしょう。当時、ただでさえ日韓協定に反 対が熾烈だった韓国で、もし当初の議題にもなかった竹島=独島問題で韓国が譲歩したら、 朴正煕政権は存立すら危うかったかも知れません。   韓国にとって竹島=独島問題はダイナマイトであるという実例は前の盧武鉉大統領に もありました。大統領は就任当初「未来志向の日韓関係」をうたい、大統領からは過去の 歴史問題を持ちださないと日本へ約束しました。   その後、大統領は日本の動きにガマンを重ねたのですが、島根県が「竹島の日」を条 例で制定するや、韓国の世論が沸騰し、ついに大統領は靖国神社参拝問題とあわせて日本 を批判する姿勢に転じました。当然、両国関係は冷えていきました。   その冷却した日韓関係を李明博・新大統領が「未来志向の日韓関係」をうたい文句に して修復したのは喜ばしいことです。今後、李大統領が竹島=独島問題をきっかけに盧武 鉉政権と同じ轍を踏まなければいいのですが、その兆候が教科書指導要領書問題ですでに あり、今後が憂慮されます。 (注1)続開 第6次 韓日会談、懸案問題に関する韓国側の最終立場 (注2)第7次韓日会談 本会議及び首席代表会談,1964-65、資料1469     上記翻訳文(「利害」を「理解」と訳すなどのミスがある) (注3)半月城通信<日本の「竹島ゴール」変更、裁判から調停へ> (注4)内藤正中・朴炳渉『竹島=独島論争』新幹社、2008, P254 (半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/ 竹島=独島問題解決への第一歩  2008.7.23 メーリングリスト[AML 20633]   半月城です。   今回の中学校「学習指導要領解説書」騒ぎは、下條正男氏の予言どおりだったと いえます。同氏は、<文部科学省が竹島を「固有の領土」と発言すれば, 韓国側が反論 しても当然である(注1)>と述べていました。   日本政府もそれに配慮したのか、解説書から「固有領土」と「不法占拠」の語句 を除き、問題の個所を「我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることな どにも触れ、北方領土と同様に、我が国の領土・領域について理解を深めさせること も必要である」と記述しました。   しかし解説書は、すぐ直前の文章で「北方領土は我が国の固有の領土であるが、 現在ロシア連邦によって不法に占拠されている」と書きました。したがって、竹島= 独島を北方領土と同様に扱うことは、すなわち竹島=独島を日本の「固有領土」と し、韓国は「不法占拠」しているという主張につながります。もちろん、その根拠は 何もありません。   これでは韓国が官民こぞって猛反発するのは当然です。その余波で日韓の地方同 士の交流なども次々と中断されました。それのみか、韓国政府は駐日大使を名目上 「一時帰国」させたり、ASEANでの日韓外相会談を早々に拒否するなど、強硬な姿勢 に転じました。   このように日韓関係は7月14日を境に一日にして冷却し、李明博大統領のいう 「未来志向のパートナーシップ」は日本に裏切られた形になりました。盧武鉉大統領 の時に「未来志向の日韓関係」が「竹島の日」条例制定で裏切られたのと同じ轍を李 大統領は踏んでしまいました。日本に対する分析や読みが浅かったようです。   日韓の新聞各社は社説で冷静な対応を呼びかけていますが、しばらくは日韓間で 神経戦が続きそうです。そうした中、ひとつ問題沈静化の端緒になりうる動きがあり 注目されます。7月17日付の朝日新聞は、<竹島「教科書小委で論議を」 韓国、日 本側に働きかけへ>という記事を掲載しました。   これは、李大統領が一連の騒動への対策として、日中韓による共同歴史教科書の 作成を検討するよう指示したことに通じます。日韓両政府間では昨年から第二期「歴 史共同研究委員会」がスタートしており、その傘下に「教科書小委員会」が設置され ました(注2)。   その小委員会で竹島=独島問題を扱うように韓国が提案したのですが、これがも し実現すれば、半世紀ぶりの日韓両政府による竹島=独島論争になり、画期的なこと です。   それが実現した場合、今回は研究者同士の論争なので、外務省の隠匿資料なども ある程度明らかにされ、明治政府が竹島=独島を版図外にしたことなどもマスコミを つうじて日本国民に報道されそうです。   そうなると、たとえば東京書籍「公民」教科書の記述、「竹島と尖閣諸島 島根 県隠岐諸島の北西に位置する竹島、沖縄県先島諸島の北方に位置する尖閣諸島は、い ずれも日本固有の領土です(P155)」などは当然問題にされることでしょう。特に、竹 島=独島は「日本固有の領土」という表現が妥当かどうかは焦点になりそうです。   しかし、案外これは誤りであると簡単に片付けられるかもしれません。何しろ、 竹島=独島を「日本の固有領土」と主張している研究者は日韓ともに皆無なのですか ら。くだんの下條正男氏ですら、先の論説やテレビでのインタビューで明確に「固有 領土」論を否定しました(注3)。一方、韓国の国定教科書では固有領土という表現は 使用されていないようです。   ところで、日本の固有領土論はいつごろから言われだしたのか、少し気になった ので調べてみました。驚いたことに、日韓の竹島=独島論争(1953-65)で外務省が 固有領土論を持ちだしたのは、末期の1962年になってからでした。   最初に固有領土論が登場したのは、1956年に重光葵(まもる)外務大臣が衆議院 本会議(12/3)で日韓会談に関連して答弁した時のようです。かつて、片足を上海に おける天長節(昭和天皇誕生日)祝賀行事で失った重光外相はこう発言しました。        --------------------   最後に竹島の問題でございます。竹島が日本の固有の領土であるということは、 これはもう歴史上明らかなことでございまして、日本としては、いかなる領土も、固 有の領土は他国に譲るということはできないのでございます。        --------------------   重光は「竹島が固有領土であることは・・・歴史上明らか」としましたが、もち ろん根拠のある話ではありません。固有領土という語は重光外相の発明になるようで す。この発言に引きずられてか、外務省もやがて固有領土論をとなえるようになりま した。また、数年前にはそれが閣議決定され、日本政府の公式見解になったようで す。   その公式見解が教科書小委員会で覆されるとしたら一大事です。そのためではな いのでしょうが、日本側は竹島=独島問題を小委員会で取りあげることに反対してい るようです。   現在、教科書で最も切迫した課題が竹島=独島をどう記述するかなのに、その重 要課題を避けるようでは教科書小委員会の存在意義すら疑問になりかねません。竹島 =独島問題解決への第一歩として、小委員会で竹島=独島問題が取りあげられるよう 希望してやみません。 (注1)下條正男<「竹島問題」の本質が分かっていない日本政府>『正論』2006.7月号、   P277 (注2)教科書小委員会委員名簿 李 讚 熙 韓国教育開発院首席研究委員 鄭 在 貞 ソウル市立大学校人文大学 教授 金 度 亨 延世大学校文科大学人文学部史学専攻 教授 鄭 鎭 星 ソウル大学校社会科学大学社会学科 教授 玄 明 喆 京畿高校教師 辛 珠 柏 国民大学校韓国学研究所 研究教授 木村 幹 神戸大学大学院国際協力研究科 教授 重村 智計 早稲田大学国際教養学術院 教授 永島 広紀 佐賀大学文化教育学部 准教授 古田 博司 筑波大学大学院人文社会科学研究科 教授 山内 昌之 東京大学大学院総合文化研究科 教授 山室 建德 帝京大学理工学部 准教授 (注3)内藤正中・朴炳渉『竹島=独島論争』新幹社、2007,P228 (半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/ 君島和彦教授の指導要領解説書批判  2008.7.27   半月城です。   竹島=独島問題を日韓歴史共同研究委員会で取りあげることについて、東京学芸大学 の君島和彦教授が次のようにコメントを朝日新聞(2008.7.24)に寄せていました。        --------------------   李大統領は、日中韓共通の歴史教科書の作成を検討するように指示し、韓国政府は日 韓の歴史共同研究委員会でも「竹島・独島」問題を取り扱うように働きかけるという。   しかし、領土問題は、そのようなことで解決できることではない。研究者が「竹島・ 独島」は日韓いずれかの領土だという結論を下したとして、両政府はその結論を受けいれ るだろうか(注1)。        --------------------   この発言は少し飛躍しているようです。委員会は「歴史共同研究」が目的なので、歴 史から逸脱する国際法がらみの「領土問題」は対象外です。したがって、委員会は「竹 島・独島は日韓いずれかの領土だと結論」を出す必要はありません。   もちろん、君島教授は「領土問題は政府間で決着をつけるべきである」と書いている ので、委員会の役割をよく把握していることと思います。   それにもかかわらず、君島氏があえてそのように書くのは、今回、日本政府が「学習 指導要領解説書」で新たな歴史問題を引きおこし、しかも、同氏の言葉を借りれば「政治 的・外交的に解決できない問題を、教育の場に押しつけた」ことに対する憤りに起因する ようです。   もっともな話です。君島氏は日本政府が問題を引きおこしたことをこう批判しました。        --------------------   解説書によれば事実上、「竹島は日本の固有の領土」と教えることになる。このこと が「竹島・独島」を実効支配している韓国から強い反発を受けることはわかっていた。近 くは北海道洞爺湖サミットでも、李大統領は福田首相に解説書への記述をしないように求 めていた。   日韓関係の悪化に対して渡海文部科学省も町村官房長官も、外交関係では韓国政府に 「大人の関係」を求めていくと述べている。しかし、「大人の関係」は解説書を公表する 前に対処すべきであって、公表してからでは、日本側の主張を認めなさいという一方的な 押しつけでしかない。これでは「未来志向の関係」は築けない。        --------------------   竹島=独島を日本の固有領土として教えることを示唆した解説書を公表しておいて 「大人の関係」を求める日本政府は韓国の心情を充分理解していないようです。   かつて、潘基文・国連事務総長が外務部長官を務めていた時に「独島問題は日韓関係 よりも上位概念」と述べましたが、韓国では老若男女、与野、官民を問わず、日帝の侵略 の象徴とみなす独島問題で、日本政府が「日本の固有領土」などと史実に反するクレーム をつけようものなら黙って見過ごすわけにはいきません。   日韓協力や交流を見捨ててでも抗議の意思表示をするのは当然の成りゆきでした。し かし、韓国は抗議ばかりでなく、問題解決に向けて日本に対して竹島=独島問題を日韓歴 史共同研究委員会で取りあげるよう提案しました。もし、これを日本が拒否したら、解決 への糸口は完全に断たれることでしょう。   委員会で実際に取りあげるかどうかは委員が決めることなので、日本側委員が大変な 重圧に感じるようであれば、提案は生かされないかも知れません。 (注1)「竹島問題, 教育の場に押しつけるな」朝日新聞 2008.7.24  (パスワード必要) 竹島=独島問題ネットニュース 15号                              2008.8.12                 竹島=独島問題研究ネット発行  記事一覧 1.内藤正中論文「竹島問題の問題点」―日本外務省の『竹島』批判 2. 池内敏論文「安龍福と鳥取藩」 3.朴炳渉論文「下條正男の論説を分析する」 4.君島和彦論説「竹島問題, 教育の場に押しつけるな」 5.独島:「独島は韓国領」 日本のある大学教授の勇気 6.若宮啓文論説「竹島と教科書、笑っているのは誰か」 7.大前研一論説<領土問題に「21世紀型決着」をつけ、シベリアを支配する「バーチャ ル大国」をめざせ 8.村田晃嗣「【竹島問題】日米同盟、黄金時代の終焉」 9.歴史研究、「竹島」「尖閣諸島」は誰のものか 10.日本の文科相「韓日関係、悪影響になることは避けねば」 11.社説ウオッチング:竹島問題の記載 韓国配慮に理解 12.<独島問題>歪曲派の学者も「独島は日本固有の領土ではない」 <各記事概略> 1.内藤正中論文「竹島問題の問題点」―日本外務省の『竹島』批判  韓国嶺南大学校『獨島研究』第4号、2008年6月、pp.8-34(日本語)、   pp.35-66(韓国語) 2. 池内敏論文「安龍福と鳥取藩」  『鳥取地域史研究』第10号、鳥取地域史研究会、2008年2月、pp.17-29 3.朴炳渉論文「下條正男の論説を分析する」  韓国嶺南大学校『獨島研究』第4号、2008年6月、pp.67-94(日本語)、   pp.95-124(韓国語) 4.君島和彦論説「竹島問題, 教育の場に押しつけるな」朝日新聞 2008.7.24  (パスワード必要)   日韓関係の悪化に対して渡海文部科学省も町村官房長官も、外交関係では韓国政府に 「大人の関係」を求めていくと述べている。しかし、「大人の関係」は解説書を公表する 前に対処すべきであって、公表してからでは、日本側の主張を認めなさいという一方的な 押しつけでしかない。これでは「未来志向の関係」は築けない。 5.独島:「独島は韓国領」 日本のある大学教授の勇気 【コラム】記事に掲載されなかった君島教授の話(上) 【コラム】記事に掲載されなかった君島教授の話(下)  朝鮮日報、2008.7.25  竹島専門家ではなく、一次資料を研究したことはない。しかし、(独島は歴史的に韓国 領だと主張する)内藤正中・島根大名誉教授の意見に同意する。竹島は韓国領だという主 張が正しいと思う。それに反対する主張は説得力がない。 6.若宮啓文論説「竹島と教科書、笑っているのは誰か」  (パスワード必要)  朝日新聞、2008.7.21、風考計  竹島が「我が国固有の領土」かどうかは日韓の相違だけでなく、実は日本の中にも長い 論争がある。政府見解を否定する研究者も少なくないのだ。  いまは島根大の内藤正中教授らがそうだ。明治政府は竹島を韓国領とみていながら、軍 事的な思惑などで1905年に島根県に編入した。そんな見方を著書や論文で展開している。 7.大前研一論説<領土問題に「21世紀型決着」をつけ、シベリアを支配する「バーチャル大国」を目指せ>  (パスワード必要)  『サピオ』2008.8.20/9.3号、pp.35-38  竹島問題はもっとシンプルだ。人が住む島ではなく、韓国との間にあるのは、漁業権や メンツの問題にすぎない。竹島を実効支配しているのは韓国である。韓国軍が駐留し、韓 国から観光客も訪れている。島根県が「竹島の日」を制定したり、文部科学省が中学校の 学習指導要領の「解説書」に竹島を盛り込んだりしても意味はない。彼らを追い出す方法 は、戦争だけなのだ。まずこの基本を認識しなければならない。しかし冷静に考えたら、 その戦争が割に合わないことは誰でもわかる。 【コメント】とかく実用主義的な観点からは歴史問題が欠落しがちですが、日本で多様な  意見が出され始めたことが注目されます。 8.村田晃嗣「【竹島問題】日米同盟、黄金時代の終焉」  「イザ!」2008.7.31  米政府機関の地名委員会が竹島の帰属先を「韓国」に再変更したが、米政府はそもそも 「主権未指定」にしなければよかったのだ。このような調整ができないほど、ブッシュ政 権はすでに政権末期の状況に陥っている。また、対応が二転三転することは、日本と韓国 の同盟国に対する配慮を欠いているといえる。 9.歴史研究、「竹島」「尖閣諸島」は誰のものか  (パスワード必要) 『週刊新潮』 2008.8.14/21号、pp.172-175  島根大学の内藤正中名誉教授が言う。「日本の外務省は国際法上も固有の領土と主張し ていますが、これはきちんと証明されていない。不都合な事実を隠しています。日本の文 献をもっと精査するべきでしょう」 【コメント】これまで下條正男説を中心にしていた『週刊新潮』が、今回は下條説を柱に  しながらも、固有領土説を否定する内藤教授の主張をわずか数行でも紹介するように  なったのは驚くべき変化です。内藤教授の主張が僅かずつでも理解され始めたようです。 10.日本の文科相「韓日関係、悪影響になることは避けねば」  中央日報 2008.8.4 日本の新文部科学相には久々にハト派長官が就いた。 先週末、福田康夫首相の内閣改造で新文部科学相に就いた鈴木恒夫衆院議員(67)は、 自民党内強硬保守に対立し、合理的穏健保守の立場を代弁してきた人物として知られてい る。日本政府が中学校の新しい学習指導要領解説書に独島領有権を明記することで急激に 冷却した韓日関係はもちろん、今秋に予定されている日本の高校学習指導要領解説書の独 島(トクト、日本名・竹島)の内容を含むかどうかにも影響を及ぼすか注目されている。 11.社説ウオッチング:竹島問題の記載 韓国配慮に理解  (パスワード必要)  毎日新聞 2008.7.20  ◇韓国配慮に理解--毎日など4紙  ◇「遅いぐらいだ」--読売  ◇「大いに不満」--産経 12.<独島問題>歪曲派の学者も「独島は日本固有の領土ではない」  中央日報2008.7.17 下條教授は「竹島問題研究の課題」という論文で「島根県でさえも固有の領土論を論じ ていないのに、文部科学省が固有の領土だと主張すれば、韓国は当然、反論してくる」と 指摘した。 1905年「無人島」と規定し、島根県に独島を編入しておいて「固有の領土」だと主 張するのは、つじつまが合わないということだ。拓 殖大教授で現在、島根県が運営して いる「竹島問題研究所」の所長である下條教授は、日本政府にもっと確実な根拠を示すべ きだという趣旨でこのような主張をしてきた。 以上



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