竹島=独島問題ネットニュース、42

2018.3.2

竹島=独島問題研究ネット

http://www.kr-jp.net

記事一覧

 

1.【書籍】池内敏『日本人の朝鮮人観はいかにして形成されたか』

2.【論文】朴炳渉「独島領有権に対する近代国際法の適用問題―「広義の国際法」の観点から―」

3.【論文】池内敏「竹島(獨島)の活用実態と領有権」

4.【論文】藤井賢二「竹島問題に関する日韓両国政府の見解の交換について(上)」

5.【論文】中谷和弘「日本の領土関連問題と国際裁判対応」

6.【論説】舛添要一「日韓ガチンコ勝負、竹島問題「へそ曲がり」のススメ」

7.【報道】17世紀国際法「独島は朝鮮の土地」『東亜日報』

8.【集会】第13回「竹島の日」記念式典

9.【集会】第15回「竹島の日」を考え直す集会

 

 

記事詳細

 

1.【書籍】池内敏『日本人の朝鮮人観はいかにして形成されたか』講談社、2017

 

 本書は江戸時代の日朝関係史を中心に16世紀末から20世紀初頭にかけての時期を対象として、日本人の朝鮮観がどのように現れ、推移してきたかを叙述しようと思う。

 第3章 元禄竹島一件

 第9章 19世紀の鬱陵島

 第10章 竹島の日本領編入

20世紀初め)「独島」が口頭ではどのように発音されたかは不明であった。奥村亮の口述書は、「独島」が朝鮮人によって「トクソン〔トクソム〕」と発音されていたことを示すとともに(注)、これまで到底成り立ちがたい謬論と思われてきた「トルソム(石島)―トクソム(石島/独島)―トクト(独島)」とする音韻変化説に客観的かつ文献的な傍証を与えるものである・・・

 1640年代以来、およそ歴史上の大半の時期は欝陵島とセットで活用されるというのが竹島の活用実態における歴史的特性であった。おそらくは渡航技術との兼ね合いで、20世紀冒頭になって初めて隠岐と竹島との直接往来を介した活用が可能となった。しかし、そうした時期を迎えた後にも、鬱陵島を起点とする竹島活用が止むことはなかった。竹島の活用は、現在明らかに韓国領である鬱陵島と現在明らかに日本領である隠岐諸島に挟まれるなかで、その二つの大きな島(島々)を結ぶ動線上で活用されるところに歴史的特性があった。

(注)外務省『竹島漁業の変遷』1953,p.36

PW必要)http://www.kr-jp.net/member/shimane_cl/S113.pdf

 

 

2.【論文】朴炳渉「独島領有権に対する近代国際法の適用問題―「広義の国際法」の観点から―」 

 『獨島研究』23号、2017

 

 日韓両国間には領土問題に関して17世紀に国際的な約束、すなわち「広義の国際法」が存在した。 これは元禄竹島一件当時に両国が交換した外交文書などから成る。両国は外交交渉によって欝陵島を朝鮮領と認め、あわせて離島の帰属に関する判断基準を確立した。 この基準は、① どちらの政府が離島に領有意思をもっているか? ② 離島はどちらの国に近いか? という二点であり、実際にどちらが離島を支配したかは領有を決定する要因ではなかった。

 その後、日本で欝陵島と独島の帰属が何度か問題になったが、1877年太政官指令などに見られるように、その時々に先の基準がよく守られ、欝陵島・独島は韓国領と判断された。 先の基準は両国にて慣習になり、独島は広義の国際法上にて韓国領であった。

しかるに、日本は日清戦争前後から帝国主義国家の本性をあらわにし、広義の国際法や領土に関する慣習を無視するようになった。 一方、1905年に勃発した日露戦争において、海軍輸送船に大きな被害を被った日本は独島に秘密裡に望楼を建てる必要に迫られた。 そのため、日本は無主地先占論を口実にして独島の日本領編入を閣議で決定した。 しかし、その口実にされた漁民中井の独島占領は成立していなかった。 また、独島は無主地ではなく広義の国際法上にて韓国領であった。 したがって日本の近代国際法による無主地先占は成立しなかったのであり、日本の独島編入は無効である。

(日本語)http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park-1712j-Law.pdf

 

 

3.【論文】池内敏「竹島(獨島)の活用実態と領有権」『獨島研究』23号、2017265

 

  本稿は、シンポジウム「領土・領海と島嶼」(2017.2.21、東京大学海洋アライアンスイニシアチブ「小島嶼国研究会」主催)における口頭報告「竹島問題における島嶼の活用実態と領有権の主張」を再整理し、朝鮮史研究会関東部会20175月例会において口頭報告したものである。この論文は、上記著書におけるトクソム(独島)の音韻変化説に関する考察の基礎にもなっている。なお、朝鮮史研究会報告は、前号「ネットニュース」参照。

http://dokdo.yu.ac.kr/uploads/bbs/bbs_01/53391519111669.pdf

 

 

4.【論文】藤井賢二「竹島問題に関する日韓両国政府の見解の交換について(上)」

 『島嶼研究ジャーナル』第7巻1号(201710月)

 

 半世紀以上も前に交換された日韓両政府の見解書は、今日の学問的水準から見ると双方ともに多くの欠陥を抱えている。今回発表された論考は、韓国政府見解の欠陥のみを論じている。著者は「ネットニュース」38号にて紹介したように内閣官房委託調査『竹島に関する資料調査報告書』を統括したが、都内などにおける「資料調査」が目的であっても、「竹島外一島」を日本に無関係とした1877年太政官指令の『公文録』や『太政類典』などを無視するなど、調査研究の手法には疑問が多い。

(PW必要) http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/fujii/fujii-1710-nikkan.pdf

 

 

5.【論文】中谷和弘「日本の領土関連問題と国際裁判対応」

 『島嶼研究ジャーナル』第7巻1号、201710

 

 本稿においては、第1に、日本の領土関連問題である北方領土、竹島、尖閣諸島の領有権問題がもし国際司法裁判所(ICJ)や国際仲裁裁判で争われて本案に進んだとしたら、良識的な裁判官はどのような判断を示すことが期待されるだろうかについて2.で指摘するとともに、第2に、国際裁判(領域関連裁判に必ずしも限定されない)に首尾よく対応するために有用と思われる点を3.で指摘する。第1の点については、2014年度に日本国際問題研究所において検討する機会があり、本稿2.は、基本的にそこでの検討に基づく要旨のみを記すものである。次の3点をあらかじめお断りしておきたい。①いうまでもなく、日本政府が領土紛争があると認めているのは北方領土と竹島の2つのみであって、尖閣諸島については領土紛争はないというのが政府の立場である。私自身も同じ見解である。

(PW必要) http://www.kr-jp.net/member/media/z-2018/nakaya-1710-ICJ.pdf

 

 

6.【論説】舛添要一「日韓ガチンコ勝負、竹島問題「へそ曲がり」のススメ」

産経iRONNA 2018

 

 竹島(独島)問題は日韓両国とも自らの主張を譲らない「ガチンコ勝負」となっており、解決の見通しは全く立たない状況である。問題なのは、両国政府とも竹島(独島)が自らの領土であることを主張するのに都合の良い資料を持ち出したり、牽強(けんきょう)付会とも言える恣意(しい)的な資料解釈を行ったりして、不利になる資料には一切触れないという態度を取っていることである。

 そこで第一に必要なのは、日韓双方が最新の歴史学に依拠した正確な事実認識からスタートすることである。一般の国民はもちろん、有識者といわれる人々も、竹島の歴史についてあまりにも無知なことが多い。意図的な資料解釈もまかり通っている。

 そのような中で、新書で簡単に入手して読める名古屋大の池内敏教授の『竹島-もうひとつの日韓関係史』(中公新書)を勧めたい。この本は文献に基づき、また多角的な資料分析を行って、日本政府と韓国政府の公式見解の問題点を摘出している。

http://ironna.jp/article/9012

 

 

7.【報道】17世紀国際法「独島は朝鮮の土地」『東亜日報』 2018.01.10

  朴炳渉 在日独島研究者 「1699年韓日国境条約に明示」

 

近代以前、東アジアの外交慣例は「広義の国際法」(国際慣習法)であり、独島は日本の主張のように「無主地」だったのではなく、国境条約上朝鮮領土だったことが明確であるという研究が登場した。

 在日独島研究者である朴炳渉「竹島=独島問題研究ネット」代表は、最近、学術誌『独島研究』23号に「独島領有権に対する近代国際法の適用問題」を掲載した。17世紀末、朝鮮と日本は欝陵島の帰属をめぐって外交文書をやり取りして交渉をおこない、1699年に欝陵島が朝鮮領土であることを確認した。いわゆる「欝陵島争界」(竹島一件)である。当時、両国は離島の帰属に関する判断基準として「どちらの政府が離島に領有意思を有しているのか」、「離島はどちらの国に近いのか」という二点を確立した。論文は「これは近代以前の‘広義の国際法’ということができる」と強調した。

実際、以後にも日本は日本で欝陵島と独島の帰属が問題になるたびにこれらの基準によって朝鮮の領土と判断した。江戸幕府は独島に領有意思を持ったことがなかったし、地理的に独島は朝鮮の土地である欝陵島に近いためである。明治時代に入っても、森山茂などが1870年に作成した「朝鮮国交際始末内探書」を始めとして、このような判断に変化はなかった。

http://news.donga.com/3/all/20180110/88098365/1#csidxedc03639af2c3679e9abd3b57bf72a9

(翻訳)http://www.kr-jp.net/ronbun/park/17c-Law-180110-Donga.pdf

 

 

8.【集会】第13回「竹島の日」記念式典

 

 日時:2018.2.2213:30

 場所:島根県民会館

 主催:島根県他

 シンポ:竹島問題解決に向けた取組み

      下條正男、高田潔、佐々木茂、曽田和彦

 

 

9.【集会】第15回「竹島の日」を考え直す集会

 

 日時:2018.3.314:00

 場所:大阪八尾韓国人会館

 主催:「竹島の日」を考え直す会

 講演:「竹島の日」はなぜ考え直さねばならないか

 パネルディスカッション:黒田伊彦、「竹島の日」を考え直す会の今までとこれから

    漆崎英之、北村めぐみ、稲垣豊、宋彙榮

 

○ 竹島=独島問題ネットニュースのバックナンバーは下記で見られます。

 (半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/mokuji.html#net_news