竹島=独島問題ネットニュース 41

2017.11.11

竹島=独島問題研究ネット

http://www.kr-jp.net

記事一覧

1.【論文】 朴炳渉「サンフランシスコ講和条約から洩れた論争中の島々」

2.【報告】 朴炳渉「池内敏『竹島もうひとつの日韓関係史』」

3.【報告】 池内敏「竹島の活用実態と領有権」

4.【論説】 横田将志「竹島・独島から見る日本と韓国の現在」

5.【論説】 佐渡友哲「竹島・独島を考える視点」

6.【論説】 山田光矢「竹島(独島)をめぐる日本・韓国・近隣諸国の関係と北東アジアの現状」

7.【論説】 孔義植・崔永鎬「韓国における独島・竹島に関する研究及び市民団体の活動について」

8.【論説】東郷和彦「竹島・独島問題と日韓関係:日本の視点」

9.【論説】 舩杉力修「竹島の日本地図についての韓国側の報道・論文に対する反論 (6)

10.【書籍】下條正男『安龍福の供述と竹島問題』

11.時評】 下條正男「竹島問題の解決を阻むもの」

 

 

記事詳細

1.【論文】 朴炳渉「サンフランシスコ講和条約から洩れた論争中の島々」

『北東アジア文化研究』43号、2017

 サンフランシスコ条約に規定されなかった島嶼として東沙諸島、尖閣(釣魚)諸島、ハボマイ・シコタン、竹島=独島をあげることができる。これらの島々がサンフランシスコ講和条約に洩れたケースは三つのパターンに分けることができる。最初のパターンは重要でないと判断された尖閣(釣魚)諸島および東沙諸島の場合である。第二のパターンは、条約にて意図的に規定されなかったハボマイ・シコタンの場合である。第三のパターンは韓米協議が継続中の竹島=独島である。

 したがって、条約に規定されなかった島嶼は日本領になったという俗説は誤りである。日本政府は、竹島=独島やハボマイ・シコタンを本邦外とする政策を条約後も継続した。条約によって竹島=独島やハボマイ・シコタンの法的地位に変動がなかったので、日本政府はそれらを日本国外としたSCAPIN-677の見解を引きつづき受け継がざるを得なかったのである。

 http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park-1703-SFetc.pdf

 

 

2.【報告】 朴炳渉「池内敏『竹島もうひとつの日韓関係史』」

『朝鮮史研究会会報』209

           2017.5.20 東大で開かれた朝鮮史研究会例会の報告要旨。

 池内の同書に対する書評はすでに『独島研究』20号にて発表されている(http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park-1606-ikeJ.pdf)。今回の報告はそれに加え、ラスク書簡に対するフォローの欠如が指摘された。ラスク国務次官補は韓国へ「独島(竹島)は我々の情報によれば朝鮮の一部として取り扱われたことが決してない」と記した書簡を送ったが、それに対する韓国の返事について池内は著書でふれていない(池内は歴史家として国際法関係に深入りするつもりはないと述べた)。一方、勅令41号の石島はどの島である可能性が高いと考えるかという質問に対し、池内はそう聞かれれば竹島(独島)と答えざるを得ないと語ったことが注目される。

 http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park-1709-ike.pdf

 

 

3.【報告】 池内敏「竹島の活用実態と領有権」、同上

 2月、島根県が「明治30年代の竹島漁業関係資料の発見」を発表し、産経新聞が「日本の領有権の確立過程を説明する補強材料」と報道した。新発見資料とは、隠岐の八幡才太郎が子孫のために1977年に書き残した履歴書という。島根県は「新発見資料」を高く評価しようとするが、内容の一部は歴史的事実を転倒させており、到底成り立たない。

 竹島の活用は鬱陵島を離れては十分に展開しえなかったという特性は、二〇世紀になっても継続的かつ支配的だった。つまり竹島の活用は、現在明らかに韓国領である鬱陵島と現在明らかに日本領である隠岐諸島に挟まれるなかで、その二つの大きな島(島々)を結ぶ動線上で活用されるところに歴史的特性があった。その点に留意するならば、竹島を、歴史的に培われてきた動線上のいずれか一方にのみ引き裂くことの不適切さに思い至るのである。

(PW必要)http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/ikeuchi/ike-1709chosensi.pdf

 

 

4.【論説】横田将志「竹島・独島から見る日本と韓国の現在」 『法学紀要』58号、2017

 本稿では、日本から竹島・独島への渡航と同島の現状について、鬱陵島での筆者たちの動きを交えて述べてきた。竹島・独島への訪問は、日本人であっても大きな困難を伴わなかった。念のため、海洋警察署を訪ねたうえで行ったが、一般の韓国人と同様であった。竹島・独島では、「対立の島」や「紛争の島」であることを実感できなかった。その代わりに、自然豊かな大きな「岩」という印象を受けた。

 (筆者が訪問したインドシナ半島)プレアビヒア寺院周辺のカンボジアータイ国境は、竹島・独島をめぐるものよりも厳しい対立のもとにあった。その一方で、国境の開放やこれをとおした交流の活性化に向けた取り組みが進行しつつある。このことから、竹島・独島が今後、「対立の島」から「交流の島」へと変わっていくことも不可能ではないと考えられる。

(PW必要)http://www.kr-jp.net/member/media/z-2017/yokota-1703kiko.pdf

 

 

5.【論説】 佐渡友哲「竹島・独島を考える視点」 『法学紀要』58号、2017

 本報告書は、竹島・独島が日韓のどちらに帰属するかについて明らかにすることを目的としていない。歴史的な事実から両国の主張を客観的に比較分析することはできても、島がどちらに帰属するのかを判定することは困難である。国際法的視点からの判断も難しい。領有権問題の結論ではなく、現場からの情勢分析が今回の調査の目的であった・・・

 島をめぐる帰属問題の解決には何世代もの時間を必要とするかもしれない。しかし何世代もの間、係争中の両国民がいがみ合う必要はないと考える。実効支配を継続することで解決するのか。「棚上げ」による「未解決の解決」にするのか。共同管理や共同経済活動という別の道を選ぶのか。島の領有をめぐる問題には、政府間の声明や条約、大国の関わり、戦後処理、国益、政権の現在の立場、歴史の解釈や教育、国民感情と情熱、報道の仕方など、様々な要因が複雑に絡み合っていることだけは確かである。

(PW必要)http://www.kr-jp.net/member/media/z-2017/sado-1703deguchi.pdf

 

 

6.【論説】 山田光矢「竹島(独島)をめぐる日本・韓国・近隣諸国の関係と北東アジアの現状」

 『法学紀要』58号、2017

 島嶼部の帰属に関しては、三国(日台韓)の共通の財産であり平和のシンボルとして解消させ、EU型のつながりを確立して相互発展を目指していくべきである。この三国(地域)が核となって、タイやシンガポール、香港などとの協力体制を構築し、最終的には三国(地域)が中心となってAC(Asian Community)の構築を考えてもいいように思われる。中国が民主化するまでは、三国(地域)の協力関係は、地域の安定と平和および発展にとって不可欠なものといえる一面があることも考慮する価値はあるとも考えられる。

(PW必要) http://www.kr-jp.net/member/media/z-2017/yamada-1703symbol.pdf

 

 

7.【論説】 孔義植・崔永鎬「韓国における独島・竹島に関する研究及び市民団体の活動について」 『法学紀要』58号、2017

 以上、見てきたように、韓国には数え切れないほどの独島・竹島関連の政府や民間の研究所や市民団体、ホームページが存在している・・・政府関連の研究所をはじめとする各種の研究所や団体の設立目的や事業内容は、独島に関する資料の発掘や調査、研究、広報、教育、領土主権守護、探訪、学術交流、出版など、大同小異であって、多くの研究所や団体がほぼ同じ活動をしていることが分かる・・・

 政府基金で運営されている「東北アジア歴史財団」傘下の「独島研究所」のように、専門の研究員や組織、資金を持って体系的に研究や調査活動を行っている研究所がある反面、実際には開店休業状態にある研究所も多数存在する。大学の独島・竹島関連研究所においても、領土問題や独島・竹島問題を専攻する専任教員や研究員によって研究所が成り立っているところより、関連分野を専攻している一人の教員を中心として、これに一~二名の助手を加えた形で運営されることが多い。さらに、独島・竹島関連の市民団体も持続的に活動を行っている団体もあれば、看板だけを掲げて活動をやっていない団体も多い。

(PW必要) http://www.kr-jp.net/member/media/z-2017/kong-choi-1703group.pdf

 

 

8.【論説】東郷和彦「竹島・独島問題と日韓関係:日本の視点」

『産大法学』5012号、2017

 本論文は、20141121日(金)ソウル大学国際大学院にて開催された日韓関係国際学術会議『独島・竹島問題をいかに語るか一日本の立場と日韓関係』に提出したものである・・・

 それでは、以上の双方の立場を勘案して、いかなる政策をとればよいか。問題の最終解決は、今の私には見通せない。しかし、最終解決に至る前の不可欠の道標として、一つの原則と三つの内容を提案したい。

 一つの原則は、話し合いによって解決を試みることである・・・

 その対話の内容は何であるべきか。

 第一に、竹島問題を政治的に棚上げする・・・

 第二に、法的・歴史的側面を含む対話を、民間レベルから始めて行う・・・

 第三に、竹島を平和と協力の島として活用する・・・

 究極の課題は、竹島という日韓の間にささった棘を、お互いのプライドを傷つけない形でうまく抜くことができるかにかかっている。そのために必須なのは、日韓が相手の国を信用できる国と思えるか否かということである。国を信用できるかということは、抽象的な概念としての国家が信用できるか否かという問題ではない。その国を構成する指導者が、国民が、人間が信用できるか否かという問題である。

(PW必要) http://www.kr-jp.net/member/media/z-2017/togo-1701snu.pdf

 

 

9.【論説】 舩杉力修「竹島の日本地図についての韓国側の報道・論文に対する反論 (6) 

『島嶼研究ジャーナル』第62号、2017

 韓国「ウリ文化を守る会」が発掘した「大三国之図」は、基本的に林子平の蝦夷や朝鮮などの地図、そして赤水「日本輿地路程全図」2版などをもとに林子平「三国通覧輿地路程全図」に加筆、修正した絵図であることが判明した。 一方、赤水図をはじめとした江戸時代後期の日本図において、竹島(鬱陵島)と松島(現在の竹島)は明らかに離れて記載されていることを踏まえれば「大三国之図」は「地理相違之絵図」ということになる。

(PW必要) http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/funasugi/funa-1703shihei.pdf

 

【コメント】 かつて林子平「三国通覧輿地路程全図」における竹島(欝陵島)直近の「無名の小島」について、これは松島(独島)か(保坂祐二)、竹嶼か(下條正男)の論争がおこなわれた。その「三国通覧輿地路程全図」を改訂した今回の「大三国之図」に「無名の小島」が松島と記載されたので、論争の軍配は保坂にあがったといえる。なお「大三国之図」を作成したのは林子平か、その関係者と見られる。

 

 

10.【書籍】下條正男『安龍福の供述と竹島問題』島根県、2017

 さて以上、安龍福の証言を九つの項目に分け、歴史の事実と照らし合わせてみると、どのようなことに気が付くでしょうか。 韓国の歴史教科書に記述されている内容とは、かなり違いがあるようです。韓国側ではこの安龍福の証言を根拠に、竹島を韓国領としてきました。そのため韓国側では、日本側が竹島問題に触れると、それを「日本の領土的野心」とし、「妄言」としてきたのです。ですが安龍福の供述は、明らかに偽証でした。

(PW必要) http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/shimojou/shimo-1702ahn.pdf

 

【コメント】 日本では多くの研究者が熱心に安龍福の偽証を追求してきましたが、安龍福の供述はほとんど信用できないと『粛宗実録』粛宗22年10月23日条に記録されているのを看過しているようです。一民間人である安龍福の言動は、日朝の史料で一致するものだけを取り上げるべきです。その中から浮かび上がる史実は、安龍福が竹島=欝陵島、松島=于山島を実見したうえで両島は共に朝鮮領であると明らかにしたことです。

 詳細は、朴炳渉「安龍福事件と鳥取藩」『北東アジア文化研究』29号、2009

http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park-0903.pdf

 

 

11.【時評】 下條正男「竹島問題の解決を阻むもの」 『海外事情』2017.6

 さて以上、繍々述べてきたが、竹島問題に限らず、国家主権に関する問題に対応する日韓の姿勢にはかなりの差がある。韓国側には「東北アジア歴史財団」のような専門の研究機関があるが、日本には存在しない。そのためその代役を島根県の竹島問題研究会が果たすことになったが、それにも限界がある。韓国側では、竹島問題研究会の竹島研究を無視して、反論しない外務省の見解を批判し続けることになるからだ…

  竹島問題の解決を阻んできたのは、日本には韓国の「東北アジア歴史財団」のような、領土問題に関する専門的な政策提言機関が存在しないからである。それを実証しているのは、島根県竹島問題研究会を眼の敵にする韓国側の竹島研究者たちである。

(PW必要) http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/shimojou/shimo-1706.pdf

 

○ 竹島=独島問題ネットニュースのバックナンバーは下記で見られます。

 (半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/mokuji.html#net_news