竹島=独島問題ネットニュース 36号

2015.5.21

竹島=独島問題研究ネット発行

http://www.kr-jp.net

 

<記事一覧>

1.【書籍】魚山秀介他「竹島と独島」『向かいあう日本と韓国・朝鮮の歴史』

2.【書籍】琉球新報・山陰中央新報『環りの海』

3.【書籍】Web竹島問題研究所『竹島問題に関する調査研究報告書』2013年度

4.【論文】朴炳渉「元禄・天保竹島一件と竹島=独島の領有権問題」

5.【論文】池内敏「「国境」未満

6.【論文】 池内敏 「「海図」「水路誌」と竹島問題」

7.【報告】坂本悠一「竹島/独島領有権問題の現代史的課題」

8. 【研究会】第298回朝鮮近現代史研究会

9. 【報道】「竹島の日」条例が問うもの

10.【報道】「竹島の日」10年 松江で式典、韓国との対話強調

11.【報道】中学教科書:「領土」倍に 検定、政府見解反映 社会科全てに「竹島」

12.【報道】有識者懇談会:尖閣や竹島は日本の領土と積極的に発信を

13.【会報】「独島=竹島ニュース」6号、「竹島の日」を考え直す会

 

<記事概要>

1.【書籍】魚山秀介他「竹島と独島」『向かいあう日本と韓国・朝鮮の歴史』近現代編

 大月書店、2015.1\2,800+

 加害と被害の近現代史をともにもつ日本と韓国。日韓の歴史教師たちがその歴史を見つめ直し、和解と共存の可能性を探る。

PW必要)http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/msc_ron_cl/uoyama-1501.pdf

 

 【コメント】本書は日韓両国の主張を客観的に記述しようと努めているが、時に疑問符がつく。たとえば、本書は「1900年に大韓帝国政府は勅令41号を出して鬱陵島を鬱陵郡に昇格して,「鬱陵島全体と竹島,石島」を自国の領土と規定した。韓国はこの勅令に出ている石島が独島と主張している。しかし日本は「石島」を鬱陵島のすぐ横にある「観音島」と主張している」と記す。

 しかし、日本の歴史研究者の考え方は次のとおりである。下條正男は最初に観音島、次に不明、最近は観音島と主張を変えた。梶村秀樹、内藤正中、大西俊輝、竹内猛、(塚本孝)らは石島を独島とした。堀和生、池内敏は石島の比定を避けている。詳細は下記、朴炳渉「下條正男の論説を分析する」(1)『獨島研究』4, p.83 、(2)『獨島研究』7, p.100

(1)http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park200806.pdf

(2)http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park-0912j.pdf

 

2.【書籍】琉球新報・山陰中央新報『環りの海』――竹島と尖閣 国境地域からの問い

  岩波書店、2015.2\1,944

 ナショナリズムが煽られ,領土問題として過熱する一方の竹島・尖閣問題.日本および周辺国の漁業者など,国境地域を生活の場とする人々の現状を丹念に取材し,あわせて歴史的な背景や世界各国における領土紛争解決の事例も検証する.国と国の対立を越え,地域の視点から解決の道を探る.2013年度新聞協会賞を受賞した連載の書籍化.

 https://www.iwanami.co.jp/.PDFS/02/1/0249540.pdf

 

3.【書籍】Web竹島問題研究所『竹島問題に関する調査研究報告書』2013年度

 島根県、2015.1\310

 2013年度研究成果報告、研究レポート、第9回竹島の日記念行事、新聞記事等

 

4.【論文】朴炳渉「元禄・天保竹島一件と竹島=独島の領有権問題」

 『北東アジア文化研究』40号、2015.3

 外務省などの理解は、韓国の公式見解は安龍福が江戸幕府から竹島・松島の両島を朝鮮領とする旨の書契をもらったことを竹島=独島領有権の根拠の一つにしているというニュアンスである。しかし、韓国「政府」はそのような主張をしていない。また、文献で最も重要な官撰史書『粛宗実録』は、安龍福がもらったという書契の話を虚偽とみている。このように元禄竹島一件に関し、日本では多くの誤解がある。

 天保竹島一件であるが、八右衛門が浜田藩の一家士の教唆に従って「松島への渡海の名目をもって」竹島(欝陵島)へ渡ったことを理由に「日本政府見解3」や塚本孝は松島(独島)への渡航はなんら問題でなかったと述べる。これに池内敏が異論をとなえ、争点になっている。この問題を史料から考える。

 http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park-1503G.pdf

 

5.【論文】池内敏「「国境」未満

 『日本史研究』630号、2015.2

 『村川家文書』によれば、幕府側も大谷勝房もともに元禄竹島渡海禁令を「竹島・松島両島渡海禁制」と了解していることが明らかである。一方、日朝間で議論の対象になったのはいつも鬱陵島であり、松島が議論の俎上にのぼることはなく、鬱陵島は「国境」状態、松島(独島)は国境未満の状態であった。

 19051月、竹島〈独島・りやんこ〉が日本領に編入されることによって竹島は「国境」となったが、鬱陵島から竹島へ出漁する動線の方向と、生業における日本人と朝鮮人との共同によって、竹島の活用はきわめて「国境」未満状態に近いままで推移した。1945年以降、鬱陵島を起点とする竹島の活用は朝鮮人の手に残された。ここに、現実の渡航者レベルの実感としては、竹島〈独島・りやんこ〉が彼らの「国境」となったのである。

PW必要)http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/ikeuchi/ike-1502k.pdf

 

6.【論文】 池内敏 「「海図」「水路誌」と竹島問題」

 『名古屋大学附属図書館 研究年報』12号、2015.3

 近代日本の「海図」「水路誌」からうかがい知れるのは、1880年代から1905年の竹島日本領編人前までの期間において、少なくとも日本海軍水路部では鬱陵島とリアンコールト列岩を日本領とは見なしていなかった、ということである。朝鮮領と見なしていた可能性は皆無ではないが、「日本領と見なしていなかった」ことが直ちに「朝鮮領と見なしていた」ことにはならないから、判断は微妙なところである。

 http://libst.nul.nagoya-u.ac.jp/report/f_report.html

 

7.【報告】坂本悠一「竹島/独島領有権問題の現代史的課題」

 『朝鮮史研究会会報』199号、2015.3

 朝鮮史研究会 51回大会 パネル2における池内敏「竹島/独島論争史小史」、および吉沢文寿「日韓国交正常化交渉における竹島/独島論議」報告(前号参照)に対する質問およびコメントの内容紹介

PW必要)http://www.kr-jp.net/member/media/z-2015/sakam-1503cho.pdf

 

8. 【研究会】第298回朝鮮近現代史研究会

 2015.2.8、青丘文庫(神戸市立中央図書館内)

 坂本悠一「近現代における竹島―独島領有問題の歴史的推移と展望」

 

9.【報道】「竹島の日」条例が問うもの

 朝日新聞社、2015.2.18~20

「思惑超える日韓のナショナリズム」

 日韓両国が領有権を主張し、韓国が実効支配する竹島(韓国名・独島)。10年前、島根県は「竹島の日」条例を制定し、松江市では毎年、県主催の式典が開催されている。条例制定は日韓両国で予想以上の波紋を呼び、両国対立の最大要因の一つとも言われている。なぜ、島根県議会は条例を可決するに至ったのか。当事者たちの思惑とは、その思惑を超えたナショナリズムとは、なんなのか。国境の地で起きていることに目を凝らせば、条例が両国にもたらすものが見えてくる。

◇第1章 領土意識の波、思惑超え

◇第2章 韓国過熱、対話厳しく

◇第3章 会ったから知ったこと

PW必要)http://www.kr-jp.net/member/media/z-2015/asahi-1502jor.pdf

 

10.【報道】「竹島の日」10年 松江で式典、韓国との対話強調

  朝日新聞、2015.2.23

 主催する島根県は首相や関係閣僚に招待状を送ったが、政府は3年連続で政務官派遣にとどめた。竹島が日本固有の領土だという政府見解を内外に示す一方、首相や閣僚の出席は控えることで韓国の反発を和らげたい意向だ。官邸幹部は「政府の立場を表明しつつ配慮する意味で、今の対応がちょうどいい」と説明する。

 松本氏のあいさつには「日韓両国は課題があるからこそ、率直に対話を重ねることが重要」と過去2回にはなかった一文が加わった。島根県の溝口善兵衛知事も式典後、「色々なレベルで韓国側と話すことが必要。そういう時期に来ている」と指摘した。

PW必要)http://digital.asahi.com/articles/ASH2N51DQH2NUTFK00L.html

 

11.【報道】中学教科書:「領土」倍に 検定、政府見解反映 社会科全てに「竹島」

  毎日新聞 2015.4.7 東京朝刊

   文部科学省は6日、来春から中学校で使われる教科書の2014年度検定結果を公表した。社会科18点全ての教科書で竹島(島根県)、尖閣諸島(沖縄県)が日本の領土であることを明記。さらに「固有の領土」と表記した教科書は、竹島が18点中14点で現行の1・5倍、尖閣諸島は18点中13点で2・6倍と大幅増となった。・・・

 社会に関しては、14年1月に中学・高校の学習指導要領解説が改定され、竹島と尖閣諸島の記述が明記された。現行の教科書では竹島は18点中11点、尖閣諸島は9点だったが、今回はいずれも全18点で記述された。改定された解説には、地理と公民で「『固有の領土』であることを理解させる」と書かれており、地理は全点で「固有の領土」と明記。歴史分野では「固有の領土」の記述を求めていないが、「固有の領土」と書いた教科書は、竹島が8点中5点(現行は1点)、尖閣諸島が8点中4点(同)で、歴史に波及した形。

 http://mainichi.jp/shimen/news/20150407ddm001100164000c.html

 

12. 【報道】有識者懇談会:尖閣や竹島は日本の領土と積極的に発信を

 NHK2015.2.3

 領土や主権に関する情報発信の在り方を検討している政府の有識者懇談会は3日夜、会合を開き、海洋政策・領土問題を担当する山谷国家公安委員長も出席しました・・・懇談会では、中国や韓国が、領土や歴史認識を巡って、独自の主張を繰り返していることなども踏まえ、戦後70年の節目となることし、沖縄県の尖閣諸島や島根県の竹島、それに北方領土が日本の領土であることを、より積極的に国際社会に発信すべきだとして、具体策を検討し、政府に提言することになりました。

 

13.【会報】「独島=竹島ニュース」6号、「竹島の日」を考え直す会

   『図説 竹島=独島問題の解決』で重視すべき焦点

 http://www.kr-jp.net/ronbun/kuboi/kuboi-1502t.pdf

 

○ 竹島=独島問題ネットニュースのバックナンバーは下記で見られます。

 (半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/mokuji.html#net_news