竹島=独島問題ネットニュース 33号

 2014.3.26

竹島=独島問題研究ネット発行

http://www.kr-jp.net

 

<記事一覧>

1.【書籍】第三期竹島問題研究会『竹島問題100100答』ワック、2014

2.【書籍】名嘉憲夫『領土問題から「国境画定問題」へ』明石選書、2013

3.【書籍】岩下明裕『北方領土・竹島・尖閣、これが解決策』朝日新書 、2013

4.【書籍】高月靖『独島中毒』文藝春秋、2013

5.【書籍】姜誠『竹島とナショナリズム』コモンズ、2013

6.【書籍】木村三浩・前田朗『領土とナショナリズム』三一書房、2013

7.【書籍】福原裕二『たけしまに暮らした日本人たち』風響社、2013

8.【論文】朴炳渉「サンフランシスコ講和条約と千島・竹島=独島問題(1)」、2014

9.【論説】山田朗「歴史学からみた領土問題」『歴史地理教育』2013.67

10.【論説】美根慶樹「蓋するな竹島「不都合な公文書」」『Facta2013

11.【追悼】朴炳渉「有終の竹島=独島研究」『北東アジア文化研究』2014.2

12.【シンポ】「たけしま(竹島・欝陵島)をめぐる歴史と生活」2013.12.7

13.【シンポ】「東アジアにおける領土問題から平和を考える」2013.6.22

14.【集会】第四回「竹島の日」を考え直す集い、2014.2.22

15.【論説】漆崎英之「太政官指令付図「磯竹島略図」発見の経緯とその意義」『獨島研究』14号、2013

 

<記事概要>

1.【書籍】第三期竹島問題研究会『竹島問題100100答』ワック、2014

 各問への「答」は、竹島問題研究会の関係者が分担して執筆した。執筆担当者は他の担当者が執筆した「答」を読み相互にコメントを行ったが、そのコメントをどのように原稿に反映させるかは執筆者に委ねた。したがって、この冊子の記述内容は、研究会としての統一見解というべきものではない・・・この小冊子の内容も固定的な“結論”だとは考えていない。

 (PW, ID必要) http://www.kr-jp.net/member/shimane_cl/100QA-1.pdf

    (その2)http://www.kr-jp.net/member/shimane_cl/100QA-2.pdf

 

【コメント1】 Q83に塚本孝による「1877年 太政官指令」の解説がある。塚本は「(太政官が)現在の竹島を日本と関係ないとしたという主張は、島根県の伺いの添付資料だけに依存した議論」と記すが、これは下記の池内見解への反駁であろうか。

 池内敏見解、「塚本見解は「日本海内竹島外一島地籍編纂方伺」の解釈に意図的に混乱を持ち込んでいるのである・・・明治十年の日本政府中央は、竹島(鬱陵島)と松島(竹島)は日本の版図外であると公式文書で表明している、ということである。この事実は、竹島が歴史的に見て日本領であったことを主張したい者にとって、受け入れがたい史実である。受け入れたくない史実を真正面から受け止めきれないから、本来、そこに存在しない島名混乱の影響などというものを外から持ち込んで、矛盾の多い主張を押し通そうとせざるを得なくなっているのである」(『竹島問題とは何か』より)

【コメント2】 Q76に塚本孝による『隠州視聴合紀』の解説がある。塚本は、下條・池内論争の焦点である「日本の西北の限界」は「隠州」か、または「竹島・松島」か、という問題では研究会座長である下條の見解をほとんど採用しなかった。結論として『隠州視聴合紀』は「韓国の竹島領有権主張の根拠にはならない」と記し、竹島は日本領でないことを暗示した。表現に苦心がしのばれる。下條座長は塚本見解を黙認したようである。なお、外務省はこの問題で韓国政府の「隠州」説に対する反論を見送った経緯がある。また、川上健三や田村清三郎は「竹島・松島」説を一顧だにせず、韓国政府の「隠州」説にも沈黙している。下條・池内論争は下記84-87頁。

  http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park200806.pdf

 

 

2.【書籍】名嘉憲夫『領土問題から「国境画定問題」へ』明石選書、2013

 尖閣、竹島、北方四島の問題は、日本の近代史をどうみるか、戦後処理をどう理解するか、それらを受けて、ポスト近代の社会のあり方をどのように展望するかという問題にも関係する。こうした根本的な問題を検討することなしには、これらの問題は解決できないであろう。本書では、日本が抱える「国境画定問題」を、紛争解決論の理論的枠組みを用いて、従来とは異なった視点から検討してみたい。

 

 

3.【書籍】岩下明裕『北方領土・竹島・尖閣、これが解決策』朝日新書、2013

  本書の肝は「領土問題は歴史と切り離せ」。韓国は、竹島を日本の植民地支配と結びつける。中国も尖閣と歴史問題を結びつけたい気配がある。「同じ土俵で対抗していると言わざるを得ない人が日本にも多い」。日米安保の強化・維持のため、北方領土はソ連の、尖閣は中国の脅威を強調するネタにされてきたフシもある。(毎日新聞「今週の本棚・本と人」2013.9.15

 

 

4.【書籍】高月靖『独島中毒』文藝春秋、2013

 日本からながめると「独島(竹島)」を巡る韓国での活動は、熱心という表現を超えて壮絶であり、時には不可解、奇妙にすら映る。書名の『独島中毒』は特に病的な印象を強調しているわけではない。「読書中毒」「韓流中毒」といったように、「独島」に執心する社会現象を表している。「独島」を通して見えてくる新しい発見を、なるべく予断のない視線でながめてみたい。

 

 

5.【書籍】姜誠『竹島とナショナリズム』コモンズ、2013

 「国益」から「域内益」へ。先人の知恵に学び竹島の共同管理を提起。境界を越えて生きる「またがり人」からの冷静なメッセージ。

 

 

6.【書籍】木村三浩・前田朗『領土とナショナリズム』三一書房、2013

 考え方がまったく異なる者同士が、冷静に相手の立場を理解し、尊重しながら議論をすることは刺激的かつ生産的である。民族派右翼vs.非国民派。北方領土・竹島・尖閣諸島、天皇・軍隊・憲法・etc…徹底討論。

 

 

7.【書籍】福原裕二『たけしまに暮らした日本人たち』風響社

 江戸時代の日本人が「竹嶋」と呼び、明治以降の日朝の漁民らが共住、今や韓国でも高所得の離島となった欝陵島。「竹島」から90キロほどの島の知られざる歴史をひもとく。

 

 

8.【論文】朴炳渉「サンフランシスコ講和条約と千島・竹島=独島問題(1)

       『北東アジア文化研究』38号、2014.2

 サンフランシスコ講和条約は伝統的な講和条約の4大特徴をひとつも満たさない型破りなものである。伝統的な講和条約では領土の処分は疑問の余地が残らないよう明確に規定されるのが常であったが、対日講和条約では後日に問題となることが懸念されたにもかかわらず、領土条項の一部が曖昧にされた。千島は帰属先のみか、その範囲がまったく明らかにされず、日本・ロシア政府間でその解釈をめぐって対立し、両国間の平和条約の締結を妨げている。次に竹島=独島は初期の草案の段階でたびたび帰属が検討されたものの最終的に条約には何も記されず、それぞれ勝手な解釈を生んでいる。

 http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park-1402-SF.pdf

 

 

9.【論説】山田朗「歴史学からみた領土問題」『歴史地理教育』2013.67

 副題「近代日本の戦争と領土問題」、歴史教育協会の第31回中間研究集会における報告。今日の領土問題はサンフランシスコ講和条約の不備にすべての原因が凝縮している。戦争の後始末、植民地支配の後始末がずっと先送り、あるいはなおざりにされてきたがゆえに、領土問題という形でその矛盾が現れてきた。

 (PW, ID必要) http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/msc_ron_cl/yamada-1306.pdf

       http://www.kr-jp.net/sympo/s-2013/130222-yamada.pdf

 

 

10.【論説】美根慶樹「蓋するな竹島「不都合な公文書」」『Facta20137月号

 明治10年の太政官決定に触れない外務省に、「国際司法裁判所で将来、議論するために」と元大使(日朝国交正常化交渉の元日本政府代表)が直言。

  http://facta.co.jp/article/201307040.html

 

 

11.【追悼】朴炳渉「有終の竹島=独島研究」『北東アジア文化研究』38号、2014

 ふだんは温厚な先生ですが、『竹島=独島問題入門』は、「学者として到底見過ごすことができない」という使命感に燃えて書かれた著書だけに、内外に相当なインパクトを与えました。このように、たえず学問的情熱のみならず社会的使命感をもって活躍されてこられた内藤先生の長年の業績が認められ、2008年秋、先生に勲章「瑞宝中綬章」(写真)が贈られました。

 http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park-1402-naito.pdf

 

 

12.【シンポ】:「たけしま(竹島・欝陵島)をめぐる歴史と生活」2013.12.7

主催・開催場所:島根県立大学(浜田市)

1部:歴史から見たたけしま(竹島・欝陵島)、池内敏・森須和男・福原裕二

2部:生活から見たたけしま(竹島・欝陵島)、西野正人・安達二朗・渡辺裕二

3部:全体総括、岩下明裕

(PW, ID必要) http://www.kr-jp.net/toshokan/u-shimane.html

 

 

13.【シンポ】「東アジアにおける領土問題から平和を考える」2013.6.22

場所:早稲田大学(早稲田キャンパス)15号館

講演:松井芳郎「歴史と国際法のはざまで」

   大日向純夫「東アジア史のなかの『領土』問題」

   (PW, ID必要)www.kr-jp.net/member/media/z2013/ohinata-1306.pdf

主催:早稲田から広げる9条の会

 http://www.kr-jp.net/sympo/s-2013/130622-waseda.pdf

 

 

14.【集会】:第四回「竹島の日」を考え直す集い、2014.2.22

場所:大阪市立住吉住民センター

講演:戸田ひさよし「ヘイトスピーチを許さず」

  黒田伊彦「SF講和条約前後の竹島(独島)帰属論議の分析」

  久保井規夫「大韓帝国勅令は独島=竹島を正当に領有したことを新史料で証左」

     http://www.kr-jp.net/ronbun/kuboi/kuboi-1402.pdf

主催:「竹島の日」を考え直す会

 

 

15.【論説】漆崎英之「太政官指令付図「磯竹島略図」発見の経緯とその意義」『獨島研究』14号、2013

  ある独島問題研究の書物の中で、「竹島外一島の件については、日本と関係がないことを心得べし」という太政官指令本文が原本では朱書きされているという一文に出会いました・・・2005520日、原本を自分の目で見、原本に自分の手で触ることができました。確かに決定本文と日付が朱書きされていました。それは118年の時を超えて、あたかも今、毛筆で記されたのではないかと思うほど鮮やかな朱色を放っていました。

     http://www.kr-jp.net/ronbun/msc_ron/urush-1306map.pdf

 

 

○ 竹島=独島問題ネットニュースのバックナンバーは下記で見られます。

(半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/mokuji.html#net_news