竹島=独島問題ネットニュース 31号

 2012.12.27

竹島=独島問題研究ネット発行

<記事一覧>

1.【書籍】池内敏『竹島問題とは何か』

2.【書籍】大西俊輝『日本海と竹島』第4部

3.【書籍】和田春樹『領土問題をどう解決するか』

4.【論考】黄宰源「日韓国交正常化交渉期における両国新聞の独島/竹島問題報道」

5.【論考】伊藤成彦「‘竹島’は明らかに日本領ではない」

6.【論考】塚本孝「対日平和条約と竹島の法的地位」

7.【論考】高井晋「韓国竹島領有論の再吟味」

8.【論評】飛田雄一「むくげ通信」記事、254,5号

9.【訃報】独島研究家 内藤正中・島根大名誉教授が死去

10.<インタビュー>独島専門家 内藤正中・島根大名誉教授に聞く

11.【セミナ】どうして「竹島=独島」問題は「今」起こっているか

12.【集会】「東アジアに平和の海をつくる」Vol.1 竹島/独島問題を手がかりに

13.【セミナ】第61回土曜セミナー「竹島=独島問題研究の最前線」

14.【研究会】第11 海南島近現代史研究会「海南島と独島(竹島)

 

 

<記事概要>

1.【書籍】池内敏『竹島問題とは何か』名古屋大学出版会20124,830

  本書の書き下ろしは第7章のみであるが、そこで下記のように記された。

 “杉原見解や塚本見解は「日本海内竹島外一島地籍編纂方伺」の解釈に意図的に混乱を持ち込んでいるのである・・・明治十年の日本政府中央は、竹島(鬱陵島)と松島(竹島)は日本の版図外であると公式文書で表明している、ということである。この事実は、竹島が歴史的に見て日本領であったことを主張したい者にとって、受け入れがたい史実である。受け入れたくない史実を真正面から受け止めきれないから、本来、そこに存在しない島名混乱の影響などというものを外から持ち込んで、矛盾の多い主張を押し通そうとせざるを得なくなっているのである”

【コメント】本書にて「日本海内竹島外一島地籍編纂方伺」に関する下條正男の見解は無視されている。下條見解は三、四回も変説して定見がないためか、学問的な検討対象と見なされなかったのであろう。

 

2.【書籍】大西俊輝『日本海と竹島』第4部、東洋出版、2012

  元禄の領土紛争記録「竹島紀事」を読む 3巻セット 4,200

 対馬藩の『竹島紀事』は、明治時代に「日本海内竹島外一島地籍編纂方伺」に対して太政官が竹島=独島を版図外とした際に考証された史料。島根県竹島問題研究会で翻刻されたが誤りも少々見られた。今回、翻刻文とともに現代語訳が掲載された。

 

3.【書籍】和田春樹『領土問題をどう解決するか』平凡社新書、2012840

 “以上(太政官指令、編入は戦争のため)の状況を考えれば、朝鮮植民地支配を反省する日本としては、竹島が「日本固有の領土」であり、韓国の支配は「不法占拠」であると主張するのは、没道義的であるといわねばなりません。日本は、竹島につづいて朝鮮民族の大事な国土、朝鮮半島を不法占領して、自らの領土にしてしまい、三五年後に返さざるをえなくなったのです。このことを韓国人とよく話し合えば、おのずから答えが出るでしょう。韓国が実効支配する竹島=独島に対して主権主張するのは、断念する以外に道はありません。そのことを決断するのは早ければ早いほどいいのです。達成される見込みのない主張をつづけて、日韓関係、日本人と韓国人の感情をますます悪化させることは愚かの極みです”

 

4.【論考】黄宰源「日韓国交正常化交渉期における両国新聞の独島/竹島問題報道」『アジア太平洋研究科論集』24号、2012.10.

 “本稿は、日韓国交正常化交渉期、特に交渉の最終段階で独島/竹島問題が棚上げされる過程に焦点を当て、当時両国の代表的な新聞が独島/竹島問題にどの程度の関心を示し、どのような見解や主張を示していたかを明らかにすることを目的とする”

 PW必要 http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/korean/hwangJW-1210.pdf

 

5.【論考】伊藤成彦「‘竹島’は明らかに日本領ではない」『マスコミ市民』2012.10

 “これ(竹島密約)は日韓国交確立を前にした1965年の知恵だった。それから半世紀以上が経っているので、知恵は発展しなければならない。昨年、朝鮮民主主義人民共和国で新しい指導者が誕生した。今年12月には韓国で新しい指導者が誕生する。来年から南北統一への動きが生まれることだろう。そういう時代に、平和と友好を願って日本は南北統一を祈念し、南北統一に向けて竹島・独島を南北両国に返還するのがよいと私は思う”

 PW必要 http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/msc_ron_cl/ito-1210.pdf

 

6.【論考】塚本孝「対日平和条約と竹島の法的地位」

   『島嶼研究ジャーナル』第21号、2012

 “本年は、竹島領有権紛争発生60年でもある。折しも韓国大統領の竹島訪問を契機として、日本政府が改めて紛争の司法的解決を申し入れるなど、新たな動きが生じている。問題の解決には、平和条約との関係以外の争点(歴史上の諸問題点)を含め、日韓双方の政府と国民が、資史料を共有し、国際法に基づいて議論を深めることが必要である”

 PW必要 http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/tsukamoto/tsuka-1210sf.pdf

 

7.【論考】高井晋「韓国竹島領有論の再吟味」、同上誌

 “総じて韓国政府の領有権主張の公的な論拠は、「現在の竹島」が国際法的観点から韓国領であるとする証拠足り得ないといえよう。韓国政府は、領有論拠の不十分性を糊塗するために、竹島領有論争をいわゆる日韓問の歴史問題へと誘導して行くのであろうか”

 PW必要 http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/msc_ron_cl/takai-1210.pdf

 

8.【論評】飛田雄一「むくげ通信」記事、254,5号

(1)  梶村秀樹、堀和生論文に見る「竹島=独島」問題  

 “竹島=独島問題については、論文発表当時、梶村秀樹と堀和生の論文をみて「おわり」という感じだった。終わりというのは、梶村秀樹論文では韓国側に有利で、堀和生論文で、その有利が動かないものになった、というようなあいまいな記憶が残っていた”

1.梶村秀樹「竹島=独島問題と日本国家」(『朝鮮研究』182 号、1978.9

 http://www.kr-jp.net/ronbun/kajimura/kajimura1978a.pdf

2.堀和生「一九〇五年日本の竹島領土編入」(『朝鮮史研究会論文集』24 号、1987.3

 http://www.kr-jp.net/ronbun/msc_ron/hori1987.pdf

 

(2) 山辺健太郎、内藤正中論文に見る「竹島=独島」問題 

 “山辺健太郎論文は、「竹島問題の歴史的考察」で、『コリア評論』第7巻第2 号、通巻52 号、1965.2 に収録されている。<目次>竹島とは/竹島の帰属/竹島と松島との混同/竹島問題の本質/緒言”

 http://www.kr-jp.net/ronbun/msc_ron/yamabe1965.pdf

 “内藤正中論文は、「1905 年の竹島問題」で、『北東アジア文化研究』第34 号、2011.10 に掲載されたものだ。内藤正中は、1.『竹島(鬱陵島)をめぐる日朝関係史』(2000.10、多賀出版)、2.『竹島=独島論争 歴史資料から考える』(2007.3、新幹社、朴炳渉と共著)、3.『竹島・独島 史的検証』(2007.4、岩波書店、金柄烈と共著)、4.『竹島=独島問題入門 日本外務省『竹島』批判』(2008.10、新幹社)の著書があり、竹島=独島問題の歴史学者としては第一人者といえる方だ。

 私は、5.『日本海地域の在日朝鮮人 在日朝鮮人の地域研究』(1989.9、多賀出版)などで在日朝鮮人史について研究されている先生として、在日朝鮮人運動史研究会、強制連行関連の全国交流集会等でお目にかかっている。尊敬している先輩のおひとりである“

内藤論文リスト http://www.kr-jp.net/ronbun/naitou/naitou.html

 

9.【訃報】独島研究家 内藤正中・島根大名誉教授が死去

 聯合ニュース、2012.12.23

 http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2012/12/23/0200000000AJP20121223001200882.HTML

 “内藤氏はその後約20年間、独島は日本固有の領土ではないと主張してきた。

 2008年に外務省が出したパンフレット「竹島問題を理解するための10のポイント」に反論するために、「竹島=独島問題入門―日本外務省『竹島』批判」を出版した。

 パンフレットに対し、内藤氏は「あまりにひどい。日本国民を欺瞞(ぎまん)するもので、世界に向けて配布すれば日本政府の未熟さをさらすことになる」と批判した“

 

10.<インタビュー>独島専門家 内藤正中・島根大名誉教授に聞く

 聯合ニュース、2012/09/13

 http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2012/09/13/0200000000AJP20120913002100882.HTML

 “内藤教授の努力により、独島は日本固有の領土であるとの主張は日本の学界で影を潜めた。「日本人なのにどうして」、という質問に答えるのは簡単だった。鳥取藩の文書を見た以上、「学者としては良心を曲げるわけにはいかない。事実は事実として明らかにする」と語った。京都大学出身の学者として良心を守ってきたプライドがうかがえる。 一番のやりがいは、政府の主張を正面から非難したことで、「学者冥利(みょうり)に尽きる」と話す”

 

11.【セミナ】どうして「竹島=独島」問題は「今」起こっているか

 講師:木村幹(神戸大学大学院国際協力研究科教授)

 日時:2012年12月4日(火)午後7時

 会場:神戸学生青年センター TEL 078-851-2760

 参加費:600円

 主催:()神戸学生青年センター & NPO法人 汎太平洋フォーム

 

12.【集会】「東アジアに平和の海をつくる」Vol.1 竹島/独島問題を手がかりに

 日程: 2013年1月12日(土)午後1時30分~5時(開場1時)

 会場: スペースたんぽぽ、東京都千代田区三崎町2-6-203-3238-9035

 パネリスト:木村三浩(一水会代表)、康煕奉(在日朝鮮社会科学者協会)

       朴炳渉(竹島=独島問題研究ネット)

 参加費(資料代含む):500円

 主催:平和力フォーラム、TEL 042-637-8872

  http://maeda-news.blogspot.jp/2012/12/blog-post.html

 

13.【セミナ】第61回土曜セミナー「竹島=独島問題研究の最前線」

 日 時 : 2013 2 2日 14時~16

 会 場 : 資料館セミナー室(3F

 参加費 : 1,000円(会員800円、学生500円)

 講 師 : 朴炳渉(竹島=独島問題研究ネット代表)

 主催:在日韓人歴史資料館、http://www.j-koreans.org/

 

14.【研究会】第11回 海南島近現代史研究会「海南島と独島(竹島)

 と き:2013210日(日)13時~17時(開場12時)

 ところ:大阪産業大学 梅田サテライト(大阪駅前第三ビル19階)

 参加費:500円(会員は無料です)

 主題報告:朴炳渉「独島(竹島)の最新の歴史」

      佐藤正人「海南島と独島」、久保井規夫「独島(竹島)問題の解明」

 展示: 独島(竹島)にかかわる諸地図(原本)

 主催:海南島近現代史研究会 http://www.hainanshi.org/

以上

○ 竹島=独島問題ネットニュースのバックナンバーは下記で見られます。

(半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/mokuji.html#net_news