竹島=独島問題ネットニュース 30号

                      2012.10.4

              竹島=独島問題研究ネット発行

<記事一覧>

1.【書籍】『独島(ドクト)研究―韓日間論争の分析を通じた韓国領有権の再確認』

2.【書籍】東郷和彦・保阪正康『日本の領土問題』角川新書

3.【論文】福原裕二「'竹島/独島研究における新視角'からみる北東アジアの一断面」 

4.【島根】島根県が竹島研究強化、「顧問」杉原氏が勇退、後任は専門家5

5.【TV】BS朝日、激論!クロスファイア「竹島問題」

6.【インターネットTV】「尖閣・竹島」は誰のもの?(太田昌国)

7.【T】NHKスペシャル「対立を克復できるか、領土で揺れる日中・日韓」

8.【道】尖閣・竹島問題 市議会に陳情書 今治で市民団体

9.【週刊誌田岡俊次「領土問題「勝敗」を読む」『アエラ』

10.【道】ソウルの真ん中に韓国内初の独島体験館…14日オープン

11.【報道】ヨーロッパのマスコミ、過去の事を反省せずに「独島領有権」を主張する日本を批判

 

<記事概要>

1.【書籍】『独島(ドクト)研究―韓日間論争の分析を通じた韓国領有権の再確認』

   金学俊 (), 保坂祐二(監修), 李喜羅・小西直子(翻訳)、論創社、¥3,990

 日韓両国の竹島への関わりを歴史的に解明しながら、両国の領有権主張の論拠を徹底検証した韓国側「独島」研究の到達点。日本側の主張もていねいに紹介しながら、論点を一つ一つ整理していく著者の研究態度には説得力があり、日本人も学ぶことが多い。

 

 

2.【書籍】東郷和彦・保阪正康『日本の領土問題』角川新書 \800

 一九〇五年の韓国併合までの状況に関し、池内敏氏の議論は、一方において、韓国側が竹島を自国領と議論する三点については、それを裏付ける十分の資料なしとしておおむね外務省見解を支持している。他方において、日本が領有権を確立していたという外務省の議論に関しては、一六九六年二回にわたる鳥取藩の「竹島(当時の松島)は鳥取藩に属さない」と回答したこと、一八七七年の太政官指令によって「竹島(当時の松島)は本邦に関係なし」としたことの二点によって、外務省の見解を否定している。その行き着く先は、一九〇五年の時点で竹島がいずれかの国の領有権に服していたということはなく、いずれの国の領有にも属さない「無主の地」ではなかったかという解釈となる。

 特に石島についての両国研究者間の最近の議論は、取り上げる対象が一九〇〇年の大韓帝国の勅令という新しい事態であるだけに、これからの実証的な研究の接点となる可能性がある。

 

 

3.【論文】福原裕二'竹島/独島研究における新視角'からみる北東アジアの一断面」    『北東アジア研究』22号、2012

 日韓の政府は言うまでもなく、竹島/独島を所管する地方自治体までもが、領有権の帰属の問題にのみ埋没し、これを利用する人々の実態を指摘できなくなっている。また、竹島/独島の価値をめぐっては、これを利用しその恩恵を享受する/しないにかかわらず、そこから得られる(であろう)利益の23程度を日韓ともに支出している。さらに竹島/独島が存在する海は、現状においても深刻な漁業問題が進行しているのみならず、領有権問題の解決如何にかかわらず、利用者の便宜を遠ざける姿を現出させている。

(PW必要http://www.kr-jp.net/member/ronbun_cl/msc_ron_cl/fuku-1203b.pdf

 

 

4.【島根】島根県が竹島研究強化、「顧問」杉原氏が勇退、後任は専門家5

  山陰中央新報、2012.8.31

 後任には、県竹島問題研究会座長を務めた拓殖大の下條正男教授、国際法に詳しい東海大の塚本孝教授、吉賀町出身で近現代目朝・日韓関係に詳しい姫路市立姫路高の藤井賢二教諭、隠岐の島町出身で竹島教育に力を入れる松徳学院高の佐々木茂教諭、県職員時代に竹島問題を担当した県町村会の升田優常務理事が就任する。

 

 

5.【TV】BS朝日、激論!クロスファイア「竹島問題」

            「韓国は竹島問題をどう考えているか」 2012.9.15

司会:田原総一郎、村上祐子

ゲスト:韓国中央日報東京総局長 金玄基、竹島=独島問題研究ネット 朴炳渉

コメンテーター:朝日新聞論説委員 恵村順一郎

 ほとんどのマスコミが外務省のパンフレット程度の知識で竹島=独島は日本の固有領土であることを信じて報道している中、初めて韓国の主張も聞いてみようとしたこの番組はそれだけで希少価値がある。

 番組で江戸時代に幕府が竹島・松島を朝鮮領と考えて絵図を作成したことは語られたが、明治時代に太政官が竹島・松島を日本の領土外にしたことは説明しかかったものの、時間の関係で語られなかった。

 

 

6.【インターネットTV】「尖閣・竹島」は誰のもの?(太田昌国)

  レイバーネットTV、第40号放送、 2012/9/27

 今年の夏、火を噴いた尖閣・竹島問題。中国では反日デモが連日続き、日本では「領土を守れ」の声が。なぜ、領土問題は繰り返し浮上するのか。日本政府の主張する「固有の領土」論は正しいのか。特集では、評論家の太田昌国さんが、領土問題の歴史的背景をグローバルに解明し、この問題の本質に迫ります。

    レイバーネットTV http://www.labornetjp.org/tv

 

 

7.【TV】NHKスペシャル「対立を克復できるか、領土で揺れる日中・日韓」

  2012.9.23 日韓の出演者は下記

鄭在貞(前東北亞歴史財団理事長)、陳昌洙(世宗研究所)、張済国(東西大)

田中均(元外務審議官)、櫻井よしこ(ジャーナリスト)、木村幹(神戸大)

 歴史論議は、わずかに鄭在貞が1905年以前に日本は3回竹島=独島を日本領でないと判断したとごく簡単に指摘したが、櫻井よしこが共著『日中韓 歴史大論争』を示し、歴史論争は決着がつかないと発言して終わった。同書中の「竹島は絶対我々の領土だ」は20058月に櫻井、田久保忠衛、趙甲済、洪ケイの対談である。この対談内容は多くの問題があるのに加えて、内容は古く、その後の学問の成果が反映されていない。

 

 

8.【報道】尖閣・竹島問題 市議会に陳情書 今治で市民団体

   愛媛新聞、2012 9 7

 市民団体「えひめ教科書裁判を支える会」は6日、今治市議会に対し、尖閣諸島、竹島をめぐる領土問題の平和的解決に向け、日本政府に両地域は「明治日本国家が東アジア侵略の過程で領土化したという歴史的事実」を認めるよう促す意見書の採択を求め、陳情書を提出した。 陳情書では、意見書で政府に「歴史的事実を認め、中韓両国との話し合いの土俵を早急につくること」を求めるよう訴えている。

 【コメント】「えひめ教科書裁判を支える会」の主張は、昨年に同会が発行したブックレット『「尖閣諸島・竹島問題」とは何か』を参照。同書(\400)の注文先は

 gf742bpjye82j6v7vzw2@mopera.net

 

 

9.【週刊誌】田岡俊次「領土問題「勝敗」を読む」『アエラ』 2012.9.3

 韓国は、(竹島=独島を)1900年の勅令で「石島」と呼んだこともあり、その後「独島」と名付けた。日本側も江戸時代以来「松島」と呼んだ島を編入する際、「竹島」と名付ける混乱が起きた。両国で島名が転々としたことは「固有の領土」と言えるほど、支配が確立していたのかと疑わせる・・・もし裁判となれば判事たちを悩ませそうな案件だ。

 

【関連記事】森本防衛相「竹島はICJに提訴しても負ける」亡国発言スッパ抜き

   週刊文春(2012.8.30

 拓殖大学で行った領土問題についての講義で、森本氏は学生らに『竹島は返ってこない。国際司法裁判所(ICJ)に訴えても、どうせ負ける。負けたって日本では右翼と産経新聞と櫻井よしこが問題にするだけ。一週間もすれば、みんな忘れてしまうだろう。

 

【コメント】ICJで領土問題を裁くとなると、侵略戦争すら合法とする帝国主義時代の万国公法で裁くことになります。そうなると、たとえば日本に宣戦布告して千島列島を占領したソ連の行為は合法になりそうです。ICJの判断は、時には正義や道義とは無縁です。日本が「北方領土」問題をICJへ提訴しようとしない理由はここにあります。学者的にみると「竹島=独島の問題では韓国側に相当の理がある」ようです(梶村秀樹「竹島=独島問題と日本国家」)。

 

 

10.【報道】ソウルの真ん中に韓国内初の独島体験館…14日オープン

 中央日報、20120906

 14日にオープンする韓国内初の独島体験館には、120分の1に縮小された独島の模型が展示される。プロジェクトビームで海水が独島を囲むような感じを与えている。

  独島(ドクト、日本名・竹島)領有権をめぐる日本の挑発が続く中、ソウルの真ん中に独島体験館が初めてオープンする。鬱陵島(ウルルンド)に民間が設立した独島博物館があるが、政府が予算23億ウォン(約1億6000万円)を投じて独島体験館を設置したのは初めて。

  東北アジア歴史財団と外交通商部によると、独島に行かなくても独島を五感で感じられる体験館が14日にオープンする。体験館はソウル中区義州路にある警察庁の隣のイムグァンビル地下1階。

 

 

11.【報道】ヨーロッパのマスコミ、過去の事を反省せずに「独島領有権」を主張する日本を批判、中央日報(韓国語)、2012.10.1

 イギリスのフィナンシャル・タイムズ(FT)も日本は「ドイツと違って周辺国と和解できずにいる」と12日に指摘した。FTは韓国・中国などアジア諸国と良好でない関係にある日本は「アジアでリーダーシップを発揮できず、徹底的な商業主義的態度で一貫し、過去の事に対して良心の呵責を感じないでいる」と強く批判した。FTは「日本が周辺国と和解して心を開いてこそ、アジア太平洋地域の平和と繁栄が可能になる」と指摘した。

 【解説】「日中韓の葛藤を見る世界の目」

  (半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/hm141.html#No.993

以上

 

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(半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/mokuji.html#net_news