- FNETD MES( 8):情報集積 / 歴史の中の政治 98/12/06 -
03340/03340 PFG00017 半月城 法学者の姿勢、韓国保護条約(12)
( 8) 98/12/06 22:28 03249へのコメント
かんさんは条約の批准に関して、本格的に図書館で資料をあたられたよう
ですが、かんさんのコメントはどうもポイントがずれているようです。
問題の焦点は、国家の存亡にかかわる重大な条約の場合は批准が必要であ
るという、当時の日本人法学者の見解が国際慣習であったかどうかです。
しかるに、かんさんは一般論や抽象論に重点をおき、問題にしている重大
な条約については、わずかにこう記すのみです。
> 重大条約云々について切り捨てるのは、前にも引用した、Michael Akehurst, A
>modern Introduction to International Law, 1970、です。
>
>One might have imagined that politically important treaties would
>always require ratification, but even here there are exception.(pp.124)
これを引用した、かんさんの意図はこういうことでしょうか。
「重大条約には批准がともなうのが通例であるが、しかし例外もある。たった
一つでもそうした例外があれば、慣習法が成立していたとはいえない」
韓国保護条約以前における例外として、前回、私は日英同盟をあげました
が、かんさん、それ以外にどんな具体例があったのでしょうか? またそれら
は、慣習法を妨げるような内容だったのでしょうか?
同時にそれから帰納して、韓国保護条約は違法でないという主張にどうつ
ながるのでしょうか? ここが議論の重要なポイントになるので、ぜひ国際的
な具体例を示していただきたいと思います。
こうした考察なしに韓国保護条約が形式的に違法でないと結論をだすのは、
論理の飛躍でないかと思います。
ここで話は変わりますが、かんさんの学問を、むじなさんは「学問潔癖主
義」と評したようですが、私はあるエピソードを連想しました。名前は忘れま
したが、ヨーロッパのある絶対君主は理不尽な侵略戦争を始めるとき、国際法
を心配した側近にむかってこのようなことをいったそうです。
「余の行為を、国際法学者が正当化してくれるだろう」
国際法といっても、条約の有効性に関するかぎり、その実体は20世紀半
ばまで規定法はなく、単なる「国際慣習」に過ぎないわけですが、その慣習も
いってみれば帝国主義国家間の暗黙の申し合わせであり、「狼たちの談合」で
あったわけです(注1)。
そのような狼たちの慣習なので、たとえ「ひとかけらの正当性もない不当
な」保護条約であっても、それを正当化しようと思えば、国際法学者が専門知
識をふりかざして「違法とはいえない」と強弁するのは簡単かもしれません。
絶対君主の時代、国際法学者の役割としてそうした一面もあったことでしょう。
しかし、そのような強弁を現代の学者が行うのであれば、その人の学問の
意義は厳しく問われることでしょう。韓国の姜萬吉教授は「百年前の条約の有
効性を主張する理論をつくる学問に、いったいどのような意味があるのか。人
間はそもそも何のために学問をするのか」と根本的な疑問を提起しました(注
1)。不条理・不正義なことをただし、よりよい社会を築くことこそ学問の使
命であるという意見です。
この批判は一部の学者に向けられたものであり、世界的にみれば、国際法
学者は姜教授の期待にそうような方向で活動してきたことはいうまでもありま
せん。
具体的には、帝国主義時代の不条理な条約のあり方を是正すべく、ハー
バード大学によるハーバード大学草案(1935)の作成がなされ、さらに国際法委
員会による「条約法に関するウィーン条約」の制定(1969) がありました。
その制定過程のたびに韓国保護条約の不条理が問題になり、強制による条
約の例として特筆されたのは、私がこのシリーズに記したとおりです。こうし
た時代の流れを日本の多くの法学者はもっと真剣に受け止めるべきではないで
しょうか。
(注1)伊藤成彦「日韓基本条約を見直す好機」『論座』98年11月号
http://www.han.org/a/half-moon/ (半月城通信)
- FNETD MES( 8):情報集積 / 歴史の中の政治 98/12/13 -
03429/03429 PFG00017 半月城 国際慣習法、韓国保護条約(13)
( 8) 98/12/13 19:48 03343へのコメント
かんさん、こんばんは。
今回は本格的に書いていただいたせいか、かんさんが考えている足場のア
ウトラインがやっとつかめるようになりました。これにからんで、むじなさん
の次の解説も理解に一役買っています。
RE:3367
>それから、半月城さんは多分、あんたの立場を「侵略を弁護しようとしている」
>と、誤解しているんだと思いますよ。
>でも、それはあんたの書き方が悪い。
>あんたは多分、冷静に、客観的に見ているつもりだろうけども、どうも文章自体
>の雰囲気は冷静でも客観的でもない。
>どう見ても、そのように誤解される論理展開なんです。
学者は往々にして、相手の主張にNOT とだけ言って、BUT と継がないこと
が多いものです。これがしばしば誤解を招きます。
かんさんに欲をいえば、韓国保護条約は批准書がなかったからといって国
際法上違法とはいえないが、しかし、合法であるというわけでもない・・・と
いうような具合に言葉を継いでほしかったところです。
そうすれば、かんさんの立つ足場の全体像がわかり、まっすぐおちついて
行けたのではないかと思います。
RE:3343,かんさん、
>当時において、慣習法が明確に存在しない以上、当該条約の合法・違法は判断でき
>ません。言い換えるなら、違法であるとは確定できないでしょう
この「合法・違法は判断できません」という主張は、海野教授の「合法不
当論」とは違う第三の目新しい主張のようです。つまり、違法であるとはいえ
ないという点では海野教授と同じですが、その後の結論の出し方が違います。
海野教授は「違法とはいえない」ことからすぐさま「韓国併合は形式的適
法性を有していた、つまり国際法上合法」と結論づけました。すなわち、「違
法とはいえない」イコール「合法」という考え方のようです。ここで韓国併合
が合法であれば、その前提となる保護条約ももちろん合法になることはいうま
でもありません。
しかし、海野教授の結論はいかにも唐突です。それを記した著書の本論で
は合法であると断定せず、「あとがき」に雑感のような形で記すという異例な
スタイルをとりました(注1)。これは論証とはいいがたい性質のものです。
ここでかりに保護条約が違法でないとしても、かんさんの主張のように、
合法性は「判断できない」という選択肢もあるだけに、海野教授の主張は論理
の飛躍のようにみえます。この点、かんさんはどうお考えでしょうか?
次に国際慣習法ですが、かんさんは「慣習法が存在しない(19cに入っ
て崩れた)」と書かれていますが、その立場からすると、さらにハーバード草
案の「脅迫により強制された条約は無効」という指摘も慣習法としては成立し
ていなかったというお考えでしょうか?
同草案から3年後のミュンヘン協定ですが、西独とチェコとの関係正常化
条約(1973)において、同協定は武力の脅威の下で締結された条約として無効と
宣言されましたが、この背景にはそのような国際慣習法が協定当時に成立して
いたと認識されていたのではないでしょうか。
これも孫引きですが、同条約は前文の第四段で「1938年9月29日の
ミュンヘン協定は、国家社会主義政権により武力の脅威の下で、チェコスロバ
キア共和国に課せられたものであることを承認し」ました。
その上で、その第1条で「本条約により、ドイツ連邦共和国とチェコスロ
バキア社会主義共和国は、両国の相互関係に関して、1938年9月29日の
ミュンヘン協定を無効とみなす」と規定しました(注2)。
歴史に「もし」は禁物ですが、「日韓基本条約」(1965)において「韓国保
護条約などの日韓間の条約は、日本帝国主義政権により武力の脅威の下で大韓
帝国に課せられたものであることを承認」という史実を前文に付け加えるべき
ではなかったかと悔やまれます。
この確認作業をきちんとしていれば、日韓関係をたびたびこじらせた政治
家の妄言もなど未然に防げたであろうし、また戦後50年以上たった今年、金
大中大統領が「過去に対する明確な清算」をあらためて持ち出すこともなかっ
ただろうと思います。
さらに基本条約から30年後、村山総理(当時)が併合条約について「当
時の状況についてはわが国としては深く反省すべきものがあり、条約締結にあ
たって、双方の立場が平等であったとは考えていない」などと、奥歯にものが
はさまったような苦しい物言いをしなくてもすんだのにと愚考します。
そんな現状を、伊藤教授は次のように分析しています(注3)。
「日本政府と日本人は今、過去の清算を怠ってきたこの道をこのまま進むの
か、それとも最も近い隣人である韓国・朝鮮民族との関係から、過去の克服を
行って新しい関係を創り出すのか、という岐路に立っているのではないだろう
か」
私からみれば「岐路」は今に限ったことではなく、30年前から一貫して
続いているように思えます。
次に批准書の問題ですが、署名のみで効力を発揮することを明確に示して
いる重要条約の紹介ありがとうございました。
RE:3358
> 署名のみで効力を発揮することを明確に示している、'Important Political
>Agreements'の例です。
>日本に関するもの
> 1902 Anglo-Japanese Alliance
> 1876 Japan-Korea
> 1866 Japan, The United States, Great Britain, France, Holland (Traiff
>Treaty)
> 1911 important revision of Anglo-Japanese agreement of 1905
> 1854 Japan-US, 'Perry's Treaty'
>その他
> 1895, 1904, 1911 China-Great Britain
> ???? Siam-Great Britain
この中で、"1876 Japan-Korea"とあり、一見すると修好条規とまぎらわし
いのですが、これは修好条規付録及び通商章程ですね。その本体である修好条
規自体は批准書を交換しています。
そのほかのリストをみても、国家の存亡に関係した重要条約はやはり日英
同盟くらいしかないようです。もっとも、重要条約と一般条約との違いは国際
法上ないというのがかんさんの意見のようですが。
問題の韓国保護条約の場合は、文末に「右證拠として下名は各本国政府よ
り相当の委任を受け本協約に調印するものなり」とのみ書かれ、署名のみで効
力を発揮するとはいいがたいようです。
また「政府より相当の委任」といっても、韓国側では条約締結権を持つ皇
帝や、首相格である韓圭ソル・参政などは徹頭徹尾協約に反対しており、なか
んずく韓・参政はそのため日本軍に監禁されていた可能性もあり、実状は政府
の委任とはほど遠いものです。
こうしてみると、横田喜三郎があげた批准書を必要としないと考えられる
ケース、すなわち
(イ)元首によって締結される条約
(ロ)急速な実施を必要とする条約
(ハ)重要でない条約
に明確に反するのは、やはり韓国保護条約のみという感をますます深くしまし
た。これに関しては、慣習法が成立していなかったという、かんさんの主張は
ご意見としてうけたまっておきます。
おまけへのRES
資料の引用ですが、私は学者でも研究者でもないので一次資料や原典を直
接参照するのは、本業を犠牲にしないかぎりとてもかないそうにありません。
(注1)海野福寿『韓国併合』岩波新書、1995
(注2)坂元茂樹「日韓保護条約の効力」『関西大学法学論集』第44巻
4・5合併号、1995
(注3)伊藤成彦「日韓基本条約を見直す好機」『論座』98年11月号
http://www.han.org/a/half-moon/ (半月城通信)
文書名:半月城の由来
[zainichi:07842]
Date: Mon, 7 Dec 98 20:27:37 +0900
キム・ググンさん、歴史家としてのエールをありがとうございます。
専門家として今後も助言をお願いします。
>一つ初歩的な質問ですが、半月城というニックネーム
>は、開城(ケソン)近くにあった地名から由来するもの
>でしょうか?(わたしの記憶違いでなければ確かケソン
>近くに半月城?という地名があったと思いましたが、こ
>のへん記憶が曖昧です)。
開城にも半月城があったんですね。また一つ勉強になりました。日立デジ
タル平凡社の百科事典(体験版)で半月城を検索したら、建築の項目でこんな
表示がでてきました。
「開城、満月台には高麗末期の恭譲王が築造した半月城と呼ばれる内城の遺
趾が残存する」
一方、半月城でつとに有名なのは、慶州です。これもネット上で教えても
らったのですが、ワールドトラベルブック「韓国の旅」にこう紹介されている
そうです。
半月城(パンウオルソン)
『西暦57年より878年間、新羅歴代王が居住した王宮のあと。城門や楼閣
など色々な名称が残っているものの、王宮の規模や正確な位置などはわかって
いない。正式には月城であるが、王宮を月形に取り囲んでいるその形から、半
月城あるいは神城と呼ばれている。』
ここで西暦57年とあるのは、紀元前57年の誤りです。とはいっても、
本当にそのころから歴代王が居住したかどうかははなはだ疑問です。
10年くらい前の春、私はこの広々とした原っぱを訪れ、チョゴリを着た
老婦人の一団が野遊会で民族舞踊を踊っていたのを目の当たりにしました。そ
れが強く印象に残ったのと、月城が私の本貫であることから、半月城をハンド
ルネームにしました。
なお野遊会については、ご承知かもしれませんが、司馬遼太郎がこう描写
していますので参考までに記します(『街道をゆく2,韓のくに紀行』歌垣の
項)。
「この慶州仏国寺の松林は、まるで虹が立ってくるくるとまわっているよう
に美しい。いくつもの輪になっておどる婦人たちの袴(チマ)と上衣(チョゴ
リ)の色が、水色もあればピンクもある。さらには目のさめるほどにつよい黄
があるかと思えば、濃い緑もある。それらが、松林のなかの複雑な光線--梢
でさえぎられたり、枝から木洩れたりする光--のためいっそうに美しい」
この絵のような情景は、今でも鮮烈にまぶたに焼き付いています。
http://www.han.org/a/half-moon/ (半月城通信)
- FASIAE MES( 9):【安寧文化堂】 朝鮮半島全般の話題 98/12/06 -
01599/01599 PFG00017 半月城 現代史資料『関東大震災と朝鮮人』
( 9) 98/12/06 22:29 01591へのコメント
太陽の牙さんこと、仮面忍者とびかげさんは本当に幹部自衛官なのでしょ
うか? あなたの書かれた次の文章を読んで、ふとそんな疑問がわきました。
> 他人のUPを勝手に引用した問答集をAMLに掲載して、自分が勝った
>気になっているオメデタイ男版辛叔玉。AMLの読者はアホ・バカ・マヌ
>ケぞろいで全体的に程度が低いから文句も来ないだろうが、あんなところ
>で満足しておったら、進歩がないぞ。
私は幹部自衛官をまったく知りませんが、このような書き込みをする人が
幹部自衛官の典型なのかどうか興味のあるところです。もし自衛隊が旧日本軍
特有の「気合い」、すなわち問答無用の鉄拳教育精神を受け継いでいるのであ
れば、罵倒くらい日常茶飯事なのかもしれません。
それにしても太陽の牙さんはかなり独善的な御仁のようです。よほど「姜
資料」すなわち姜・琴共著の資料集『関東大震災と朝鮮人』を敵視しているよ
うで、以前「ご丁寧に、姜による、赤池の手記の改竄」とデマゴーグまがいの
発言までしました。
それを私は、太陽の牙さんの読解力不足による誤解であると#1525で
指摘しましたが、それに対する反論も反省もないようで、それどころか今度は
たけだけしく「恣意的な史料操作」と決めつけているようです。
その内容をナナメ読みすると、すくなくとも「姜資料」に書かれている記
述が間違っているという指摘はないようです。資料としての信憑性をやっと認
めたのでしょうか。
その「姜資料」ですが、毎日新聞にこの現代史資料シリーズの編集者にイ
ンタビューした記事があります(注1)。それによると、この「姜資料」は予
想外に好評だったようです。やはり記述が客観的なだけに資料価値は高いよう
で、この道のバイブル的存在になっているようです。
今回は、この一点のみ強調したいと思います。十分な時間があれば、上記
のような太陽の牙さんであっても、これに反論を加えてもいいのですが、前回
書いたように私は「関東大震災」問題に区切りをつけ、今は「韓国保護条約」
に取り組んでいますので、そちらに重点をおきたいと思います。
(注1)[本と人]現代史資料 正・続 編者=小尾俊人さん/加藤敬事さん
96.09.02 毎日新聞、東京本紙朝刊 9頁
◇いつも「日本がなぜ戦争へ」の疑問
(前半省略)
いまは退職して文筆活動をしている小尾さんはこう語る。「当時はマルクス主義的
な歴史観、観念論や図式主義で歴史が議論されることが多く、まず結論ありき、だっ
たのです。しかし、それではいけないと思った。基礎資料をもとに実態に即した分析、
解釈をすべきなのです」。頭から離れなかったのは「日本がなぜ戦争という奈落(な
らく)の底に落ちたのか」という疑問だった。
採算ラインは2000部。大部数を目指さなかったが、生資料の面白さが思いがけ
ない読者も獲得した。『ゾルゲ事件』を情報収集の方法の参考に購入した経営者もい
たという。『関東大震災と朝鮮人』は1万部以上売れ、シリーズ最多を記録した。松
本清張氏はじめ多くの作家が、現代史ものが安心して書けるようになったと喜んだら
しい。
小尾さん=写真(左)=は22年生まれ。加藤さん=写真(右)=は40年生まれ。
編集部員はいまも膨大な資料と本棚にはさまれた机で作業している。(紀)(『現代
史資料』『続・現代史資料』はみすず書房、別巻を含む全58巻セットで61万98
54円、分売も受け付けている)
http://www.han.org/a/half-moon/ (半月城通信)
- FNETD MES( 8):情報集積 / 歴史の中の政治 98/12/02 -
03264/03264 PFG00017 半月城 「国民」と人権
( 8) 98/12/02 23:12 03234へのコメント
むじなさん、BIG FALCONさん、こんばんは。幹部自衛官・仮面忍者とびか
げさんの言動をめぐって懲戒とか、何やらおだやかでないようです。
RE:3234,BIG FALCONさん
> 規律違反の該当項目は、第46条第2項の「隊員たるに相応しくない行為の
>あった場合」でしょうか?
>
> その事実は、思想、信条の自由は憲法で保障されていますが、その表現、主
>張については、節度、限界があると思うからです。幹部自衛官としては、その
>節度、限界を弁えるべきではないか?と思うのですが、如何でしょうか?
>MAILのヤリトリで意見を交換する位が限度ではないか?と思うのですが、
>オープンの場で、罵倒?するって云うのは?と思うのですが、懲戒補佐官会議
>における結論と懲戒権者の判決が、どの様になるか?関心があります。
仮面忍者とびかげさんにだけいらいらしても、せんないのではないでしょ
うか。たとえ仮面忍者とびかげさんが幹部自衛官にふさわしくないにしても、
彼のような人物まで懲戒していたら、汚職まみれの防衛庁にどれだけの人物が
残るでしょうか。
旧日本軍の体質を受け継いだ自衛隊にあって、一幹部自衛官の罵倒発言な
ど旧日本軍のピンタなどの悪弊に比べたらものの数ではありません。ここの会
議室レベルにおける匿名の言動くらい大目に見てもいいのではないでしょうか。
むしろ仮面忍者とびかげさんのおかげで、幹部自衛官の一面が明らかになり、
私としてはおおいに参考になります。
それよりむしろ、自衛隊の旧日本軍的体質のほうが問題ではないでしょう
か。「大日本帝国万歳」を公然とさけび、教育勅語を自衛官教育用に使うアナ
クロニズムの持ち主が自衛隊の幹部にいるという事実からすると、中国が懸念
する「軍国主義の復活」という指摘がすこしは真実味を帯びてくるものです。
自衛隊で体質改善が必要なのはモラルだけではないようです。
さて前置きはこれくらいにして、本題に入ります。こんなことを書くと揚
げ足取りと思われかねないのですが、こんな発言がありました。
RE:3234、
>自衛隊法施行規則第68条
> 何人も、隊員に規律違反の疑があると認めるときは、その隊員の官職、氏名
>及び規律違反の事実を記載した申立書に証拠を添えて懲戒権者に申し立てをす
>ることが出来る。
>
> この主語の「何人も」とは、施行規則が国の法令ですから、隊員に限らず、
>一般国民、勿論、むじなさんも含まれる筈です。
RE:3155、
> 「何を言っているんだか。
>あんたら防衛庁は、国民の税金で運営されていることを忘れている」
こうした発言は「一般国民」にとっては何ら問題にならないところですが、
ひるがえって国民でない者にとっては重大な関心事になります。というのも、
法規の条文に「国民」と書かれているかどうかが、ときには死活問題になりか
ねないからです。
ひところは納税者であっても、「国民」でないことを理由に国民健康保険
に入れなかったり、公営住宅に入れなかったこともありました。その理由は、
たとえば公営住宅法では「国民生活の安定と福祉の増進・・・」と、「国民」
が明記されていたためでした。
最近では日本の国際化が進んだせいか、こうしたやり方を当然と思う人が
少なくなると同時に法令もだいぶ改正されました。それでも「外国人登録証」
の常時携帯が義務づけられているなど、今でも制度上の外国人差別が国連人権
規約委員会などでやり玉にあげられています(注1)。
そうした問題点は、5年も10年も前から規約委員会から指摘されていま
したが、一向に改まらないのは「国民」の意識がそれに伴わないためとされて
います。どこの国でも人権問題はむずかしいようです。
(注1)国連規約人権委員会が日本政府に勧告◇
朝日新聞ニュース速報(98.11.6)
日本で人権が尊重されているかどうかを審査していた国連規約人
権委員会は五日、「公共の福祉というあいまいな概念に基づく人権
規制に懸念を表明する。国内法(憲法一二、一三条を指す)を国際
人権規約に整合させるよう(日本政府に)勧告する」などとする最
終見解を採択した。
勧告されたのは、裁判官の人権研修▽警官や入管職員の暴力や公
権力による人権侵害の訴えを扱う政府から独立した人権救済機関の
設立▽被差別部落住民への差別の解消▽永住外国人の滞在許可証携
帯義務の廃止▽入管収容施設諸規則の再検討▽死刑廃止と暫定措置
としての死刑対象の罪の減少▽裁判前の拘置システムの改善▽自白
強要を避けるため警察などでの取り調べの録音など。
また、在日韓国・朝鮮人差別、結婚年齢や離婚後再婚できるまで
の期間の男女差別、刑務所内の厳しすぎる規則、子どもの売春、家
庭内での女性への暴力なども人権侵害として取り上げられた。
最終見解で示された懸念や勧告は、日本の非政府組織(NGO)
が出した問題点をほとんど網羅した内容となっている。一方、改善
があったと評価されたのは、雇用における男女平等の推進などわず
かにとどまり、最終見解は「前回の勧告がほとんど実行されていな
いのを遺憾に思う」と日本政府を非難している。
規約人権委員会は、国際人権B規約(市民的及び政治的権利に関
する国際規約)の締約国を五年に一度審査する。
http://www.han.org/a/half-moon/ (半月城通信)
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半月城の連絡先は half-moon@muj.biglobe.ne.jp です。