- FNETD MES( 7):情報集積 / 海外政策 96/10/17 -
01274/01276 PFG00017 半月城 RE:日本国内の軍隊慰安所(1)
( 7) 96/10/17 20:47 01045へのコメント 「従軍慰安婦」44
この会議室では自分の書き込みに対し、すぐにコメントを要求するせっ
かちな人もおられるようですが、私はだいぶ前からの約束どおり順番にコメ
ントをしたいと思います。
近頃、私は肝心の本業の方が入社以来もっとも多忙なため、パソコン通信
に時間がさけないのがつらいところです。そんな事情もあって、回答を待望さ
れているのにもかかわらず十分な回答ができないことを心苦しく思っています。
ま、少しでも多くの方のご期待に添えるように、取り急ぎペンディングに
なっているものにコメントをつけていきたいと思います。しかし、それは十分
な回答にならないきらいがあることを予めお断りします。また、順番の途中で
コメントすべき書き込みを私がもし見落としていたらご指摘下さい。
なおついでに申し上げますが、サハリン残留韓国人についていろいろコメ
ントをいただきありがとうございました。これに対するコメントはしばらく保
留します。
前置きが長くなりましたが、西野留美子さんが著書「従軍慰安婦」で紹介
した「従軍慰安婦」沈美子さんの証言に対する下落合95さんの反論について
コメントしたいと思います。沈美子さんは強制連行され福岡に連れていかれた
との証言に対し、下落合95さんは#1045で
> 松代の話しでもそうですが、これを占領地におかれた
>慰安所と同一視するのは無理があります。 まずこれは、
>現場の労働者向けの慰安所であって、現地派遣軍の慰安
>所とは違いますね。
> 戦時下において、多数の朝鮮人労働者が動員されたこ
>とは良く知られていますが、朝鮮人労働者用の慰安所と
>いうのが存在しました。
>石炭統制会九州支部編、大内規夫著
>「炭山における半島人の労務管理」(1945年)
と書いておられました。資料の紹介ありがとうございました。沈美子さんの証
言は50年前の話なのでどこまで正確かは即断できませんが、北九州の軍慰安
所に関して、会議室 FASIA #2669でえーす寝台さんの注目すべき発言がありま
したのでその部分を引用します。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
前に記憶で書いて不正確でしたが、『R.クマラスワミ国連報告書』(日本の
戦争責任資料センター)のパラグラフ11の「最初の軍事的性奴隷は北九州地
域の『朝鮮人』女性たち」、の『朝鮮人』外し工作で、訳者は訳注p 41の『2/』
でヒックスの独断としていたので調べてみると、鈴木裕子著『朝鮮人従軍慰安
婦』p 19に「最初の軍直営慰安所」で朝鮮人女性が八割で日本人女性が二割で
あった、というのが出てきました。また同ページに千田夏光氏の名前が出てい
たので同氏の著書を当たってみたところ『従軍慰安婦とは何か』p 15に「そこ
で目をつけたのが、祖国で土地をとりあげられた北九州の炭坑地帯へ流れてき
た朝鮮人の娘たちだった。」というのもありました。ヒックスのトンデモ本は
韓国人や日本人の研究書をまとめた本のようですが、これを吉見氏は「誤りの
大変多い著書」としているということは韓国人や日本人の研究書も誤りが多い
ような気がするのですが(以下略)。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
これを読むと、研究者の間でも日本国内の各地の慰安所の実態については
まだ十分解明されていないようです。これに関し、河原さんは#1087で
>内地においても、先に半月城さんがアップされたように、遊郭などのある町か
>ら遠い土地に長期間部隊を駐屯させるときに、業者に慰安所をつくらせたケー
>スがあったようです。
と書かれておられますが、日本国内の慰安所については今後さらに解明が必要
です。50年前の真相をさぐる作業がいかにたいへんか改めて思い知らされま
す。
しかも、この作業は関係者の証言や単純な資料の突き合わせだけではすべ
ての人を納得させることはできないようです。たとえば#1021で紹介した
谷垣上等兵の証言についてこの会議室で2、3の疑問が出されました。その真
偽についてのコメントで、浅原八郎為頼さんのように軍隊組織に精通している
方が次のように謙虚に語っておられるのをみて、万人を納得させる証言の検証
のむずかしさに驚かされました。
> とくに兵站や後方の小部隊の指揮官職には「司令官」とあっても尉官が補さ
>れている例が多いようですので、該叙述を「軍隊経験がなかったことが分かり
>ます」と一刀両断にされるのはやや結論を急ぎすぎる嫌いなきにしもあらずと
>考えます。
> その他の部分についても(あくまで河原さんの掲出された範囲でですが)、
>「虚偽」と断定するには、私程度の知敷では少々躊躇われるように思うのです
>が。
こと「従軍慰安婦」に関しては、このようなところまで完璧性を期した論
証でなければ信用しない人がいるというのは、ここの会議室の特性かも知れま
せん。
http://www.han.org/a/half-moon/ 半月城
- FNETD MES( 7):情報集積 / 海外政策
01276/01276 PFG00017 半月城 クマラスワミ報告書の目的
( 7) 96/10/17 20:49 01206へのコメント 「従軍慰安婦」45
私は不思議でたまりません。どうして河原さんはクマラスワミ報告書を文
面どおりに受け取らないのでしょうか。クマラスワミ報告書を書いた当の本人
が「報告書の目的」を
1.将来の行動指針促進のため関係者(日本・韓国・北朝鮮政府)の意見を
正確かつ客観的に反映させることにある。
2.暴力の被害をうけた女性たちの声に人々が耳を傾けるようにする
ことである
とはっきりと2点に「限定」して、真相解明作業についてふれていないのにも
かかわらず、これを素直にそのまま受け取ろうとしないで、報告書の『今一つ
の「主要な目的」は真相解明そのものなのです』と発言する発想がどうしても
私には理解できません。
はては「さわやかさ」云々などとおっしゃるので、これはてっきり議論に
勝つための「ディベート」術の一環かなと思ったりもしました。しかし河原さ
んはどうやら私同様、ディベート術など小手先のテクニックを重視してしない
ようなので、どうやら別の意図があるのかも知れません。上記の発想は一体ど
こから来るのでしょうか?
それを私なりに分析してみました。まず河原さんの発言で
>しかもこの調査団なるものは、次のパラグラフ46に「調査団の活動中、特別
>報告者がとくに心掛けたのは……」という文言がありますから、調査団と特別
>報告者(クマラスワミ)とは不即不離の関係にあることは間違いありません。
と書いておられるところを見ると、河原さんは調査団と特別報告者との不即不
離の関係を重視するあまり、クマラスワミ報告書=調査団報告書、と考えてお
られるのではないでしょうね。 これならなるほど、クマラスワミ報告書の目
的=調査団の目的 という考えが成り立つわけです。
この考えの是非はのちにふれることにして、ひとまず調査団の目的に真相
解明作業、具体的にいうと河原さんが熱望されている吉田証言の検証などのフ
ィールドワークが含まれるかどうかチェックしてみます。
調査団の目的は河原さんも紹介されていますが、原文を要約すると、
1.各国政府やNGOからすでに得ている情報を確かめ、関係者に会う。
2.そのような情報に基づいて、女性にたいする暴力の現状、その理由と結
果の改善について結論と勧告をひきだすことを試みる
との2点でした。これからすぐわかることは、調査団の目的を、冒頭に書いた
報告書の目的とは別個に置いています。これは明らかに、クマラスワミ報告書
の目的=調査団の目的 ではあり得ないことを示しています。両者の相関関係
についてはあとで述べることにして、先に調査団の目的に少し踏みこんでみた
いと思います。
河原さんは、上記の(1)に書かれている「各国政府やNGOから得てい
る情報の確認」という字句を、どうやらその情報の真偽を確認する実地調査と
解釈されているようです。しかし、これは希望的観測ではないでしょうか。
真相解明作業、なかでも「従軍慰安婦」に関する真相究明は多くの研究者
が長年の歳月をかけて少しずつ明らかにされてきました。そうした研究者もど
きの作業を、時間的にも予算的にも制約がある国連調査団が行うのはどんなも
のでしょうか。それよりもそうした具体的な作業は研究者にまかせ、その成果
の上に全体的な把握や今後の展望を明らかにすることこそ真の国連の役割では
ないでしょうか。
国連の役割をこのように考えると、調査団が個々の真相解明作業、たとえ
ば「吉田証言」確認などのフィールドワークを行わなかったのは自然の成り行
きです。
さらに言えば「従軍慰安婦」システムの認識に関する限り、すでに調査団
が日本に来る前に日本政府を含めて国際的な共通認識がすでに次のように成り
立っていました。
・「慰安婦」の募集では、斡旋業者が甘言を弄したり脅したりして本人の意
向に反して集めるケースが多かった。
・さらに、官憲等がこれに荷担するケースもみられた。
・慰安所における生活は「強制的な状況」の下での痛ましいものであった。
この認識は私も含め多くの人に共通すると思いますが、国際的にも関係各国間
でも共通の認識になっていました。そのため、「従軍慰安婦」の徴集や強制の
問題などについては大きな論争点はなく、したがってフィールドワークをして
まで検証するほどの対象にはならなかったのではないでしょうか。
この認識から調査団はその重点を具体的なフィールドワークでなく、そ
れを乗り越え次の二点、すなわち
1.元「慰安婦」の要求を明確にする
2.日本政府が、問題解決のためどんな救済策を提案しつつあるのか理解す
る
ことに絞りました。この方針のもとに韓国や北朝鮮では「従軍慰安婦」の聞き
取り調査を、日本では日本政府の「救済策」の理解に重点を置いた次第です。
以上のような調査団の活動は、予備調査とあわせて報告書の重要な柱にな
っていますが、ここでもうひとつ重要な柱を見落とすわけにはいきません。そ
れは過去の国連の調査活動です。
「従軍慰安婦」問題に関する国連調査はクマラスワミさんが初めてではあ
りません。報告書が完成するまでに四年間にわたる人権委員会の活動がありま
した。その一端はすでに#907に書いたとおりです。その委員会活動の蓄積
をクマラスワミさんはもちろん引き継ぎました。
その蓄積から「軍事的性奴隷」という言葉が生まれました。したがってこ
の「性奴隷」という見方は人権委員会での見解そのものといって差し支えない
と思います。
最後に、この会議室で私にたいする「凄まじい反論」をざっと読むと、そ
の反論のなかに「従軍慰安婦」問題の具体的な真相解明作業をクマラスワミさ
んに期待するニュアンスが暗に読み取れました。こんなことでよいのでしょう
か?
日本軍が関与したことは、特許用語で言う「公知の事実」になっています
が、そうした背景を持つこの問題の真相解明作業は、日本みずからが率先して
行う必要があるのではないでしょうか。そのために官民をあげてもっと活発に
究明すべきであると思います。
今だに防衛庁などには多くの未公開資料が眠っていますが、こうした資料
をどしどし公表してもっと真相解明を徹底して進めるべきであると思います。
かってエイシャン・ウォールストリート・ジャーナルは「情報公開が謝罪
を超える方法」と主張しましたが、こうした努力こそ日本がアジアで信頼回復
を達成する道であると私も確信します。フィリッピン人慰安婦にみられるよう
に、お金だけではすべてを解決できないことが今やはっきりしてきました。お
金に代わる解決策を真剣に模索するときが来たようです。
http://www.han.org/a/half-moon/ 半月城
半月城の連絡先は half-moon@muj.biglobe.ne.jp です。