半月城通信
No. 10

[ 半月城通信・総目次 ]


  1. 【古代史】RE:檀君陵と天皇陵
  2. 【古代史】RE:檀君陵と天皇陵,、歴史リンク
  3. 【古代史】神社のルーツ
  4. 【古代史】RE:万葉集と偽書
  5. 【古代史】RE:人麻呂の暗号
  6. 【古代史】RE:RE^2:万葉集の読み方?、古代日本語
  7. 【古代史】日本語の起源
  8. 【在日】国籍
  9. 【在日】RE:はじめまして満月上です 
  10. 【在日】RE:はじめまして満月上です、差別感覚



- FASIA  MES(10):【アンニョンクラブ】    韓国・北朝鮮 96/05/12 -
01351/01351 PFG00017  半月城           RE:檀君陵と天皇陵
(10)   96/05/12 22:36  01334へのコメント

     アレンカーさんの「桓檀古記」の話は初耳でした。
> 「桓檀古記」自体は1911年に桂延寿という人物が13世紀に書かれたと
>される古史古伝等を集め編纂したもので 冷静な目で見ると とても歴史資料
>として使える程信憑性は無いのですが 一部に断片的な歴史的記憶とも見える
>ところがあり100パーセント偽書として切り捨てるには躊躇すべき点もあり

     この文中にある「歴史的記憶」のさわりを紹介していただけませんか。そ
の内容次第では私も買おうかなと思っています。また、この本の韓国版はいくら
くらいでしょうか? 
                                                  半月城


01385/01385 PFG00017 半月城 RE:檀君陵と天皇陵 (10) 96/05/14 23:53 01360へのコメント    アレンカーさん、桓檀古記の紹介ありがとうございました。その書き込 みを読むと、アレンカーさんの得意分野は「何とかリンク」ではなく、実は歴 史関係なのではないかと私なりに再評価しています。 > 両国の歴史を解明していく上で 日本と半島の歴史だけではなく東アジア >全体の流れで掴んでいかなければならないのですが 近代における不幸な関 >係からくる 日韓双方のいびつなナショナリズムが真の歴史解明に大きな影 >を落としているのは残念としかいいようがありません。 本当にそのとおりですね。伝統的な歴史観もナショナリズムに毒されて いるためか、掘り下げてみると案外謎だらけです。特に古代史はたいした論証 がないにもかかわらず、それ以外の多様な見方が出来ることはあまりふれられ ずに、いかにもそれが事実であるかのように語られたり教科書に書かれている トピックが多数あります。    これでは歴史は「暗記科目」になり下がり無味乾燥になってしまいます。 そんなわけで私も中学・高校時代は歴史はさほど好きではありませんでした。 (何年前の話のこっちゃ) しかし、最近は教科書に無視されてきた歴史に興味を見いだしています。 といってもあまり根拠のない奇想天外な物語ではなく、推理小説もどきに論証 可能なトピック、特に韓国がらみの日本史に関心を持っています。それらには ついてはここの会議室にも少しずつ書いてきましたが、何せここは「男と女の たいせつな話」にせわしないので、最近PCVANに疎開しました。    その歴史リンクの一端(J REKISI、日本史ボード)をご参考に 紹介します。この中で希望があれば私の書き込みに限って転載します。 2532 96/ 3/ 3 SPM07550 【古代史】RE:2528 海を渡った縄文土器  半月城 2550 96/ 3/ 5 SPM07550 古代史】RE:海を渡った縄文土器 半月城 2565 96/ 3/ 7 LCM04100 古代史】海を渡った縄文土器     カーター 2576 96/ 3/10 SPM07550 古代史】縄文から弥生へ 半月城 2580 96/ 3/10 LCM04100 古代史】海を渡る縄文土器      カーター 2606 96/ 3/17 SPM07550 古代】前方後円墳の本家争い(RE:2541) 半月城 2630 96/ 3/22 LCM04100 古代史】前方後円墳、Re:#2606 カーター 2741 96/ 4/26 SPM07550 古代史】前方後円墳、Re:#2630(長文) 半月城 2751 96/ 4/27 LCM04100 古代史】前方後円墳、Re:#2741>  カーター 2773 96/ 5/ 3 SPM07550 古代史】天皇騎馬民族説、RE:2751  半月城  2786 96/ 5/ 6 LCM04100 RE:#2773 騎馬民族は来たか?    カーター 2796 96/ 5/ 8 SPM07550 古代史】白髭神社は高句麗系? RE:2783 半月城 2810 96/ 5/12 TPD30944 夫余は、騎馬民族か? 西岡まさのり 2812 96/ 5/13 BGF01931  霊亀二年(716)武蔵國に高麗郡を設置す ADP 2804 96/ 5/11  SPM07550 古代史】天皇騎馬民族説と加羅、RE:2786 半月城 2824 96/ 5/14 SPM07550 古代史】騎馬民族の定義、RE:2810,2818 半月城  半月城


01451/01451 PFG00017 半月城 神社のルーツ (10) 96/05/18 00:18 01424へのコメント > 神道のルーツも神社のルーツも半島からであることは間違いないのですが >この事実も驚くほど一般的ではありませんね。     この事実があまり知られていないのは、裏付けとなる決定的な資料が乏 しいためではないでしょうか。その上、神社の多くは朝鮮との関わりを極力否 定したがっているので、事情は天皇陵古墳と似たようなものではないかと思い ます。    私も神社のルーツには興味がありちょっと本をあたってみました。そし たら皮肉なことに、皇国史観の立場から「日鮮同祖論」を書いた金沢庄三郎が 「朝鮮は神国なり」として「新羅の神宮」を紹介していることがわかりました。 すなわち、新羅の初代王・赫居世(ヒョッコセ)を祭る始祖廟が、第2 2代智証王の時代に「神宮」というものになったそうです。西暦で言えば50 8年なので、国粋主義者にいわせればもちろん神武天皇(架空)のあとです。    たぶん、このころ新羅で神社がはやり、それが倭に伝わり高麗神社の前 身(?)にみられるような新羅神社があちこち建てられたのではないかと思い ます。    たとえば武蔵の一の宮とされる大宮の氷川神社をはじめ、かなり多くの 神社は「素戔嗚尊(スサノオノミコト)」別名、牛頭(ごず)天王を祭ってい ますが、この暴れん坊は新羅に関係した神様とされています。氷川神社に限ら ず、古い神社はだいたい朝鮮と関係しているとみて差し支えないかと思います。 また、古い神社が成立した古墳時代、文化はほとんど朝鮮から入ったといって も過言ではないと思います。 > 日本も皇国史観的ナショナリズムの亡霊からまだ抜け出してはいませんし > また逆にその裏返しの反動というか何でも文化の流入は半島中心の考え方 >に陥りやすく(私もその一人ですが(^^ゞ)中国の影響や日本自身を過小評価 >する傾向があり・・・ 古代史を知れば知るほど、このアレンカーさんのような考えになるので はないでしょうか。むしろ純粋な日本文化を探す方がむずかしいかも知れませ ん。日本文化といえばすぐ京都を連想しますが、その京都の人でさえ次のよう に考えています(京都府京都文化博物館、開館1周年記念特別展より)。 ーーーーーーーーーーーーーーー  ごあいさつ まだ大陸と陸続きであった頃にやってきた人々から、日本の歴史が始ま りました。日本文化の基調となった米作りも、海を越えてもたらされました。 その後も進んだ技術や高い文化が幾重もの波として渡って来て、日本の文化に 深く浸透し、古代の日本は私たちが知るような姿になってきました。    京都はまもなく平安京建都1200年を迎えます。この地に平安京を築 いた桓武天皇の母の高野新笠(たかののにいがさ)は渡来系氏族の出であった といいます。京都盆地の開発を進め、平安京の造営にも大きな役割を果たした 秦氏もまた渡来系の氏族でした。日本の古代史が平安京にたどりつくまでの道 程は、こうした渡来系の人々の存在と彼らがもたらした文化の影響を抜きにし ては語れないといっても過言ではありません・・・ 平成元年9月15日 京都府 読売新聞大阪本社 財団法人 京都文化財団 読売テレビ


01606/01606 PFG00017 半月城 RE:万葉集と偽書 (10) 96/05/27 22:44 01591へのコメント アレンカーさんの研究には私も注目しています。同時にたいへん期待し ています。私は李寧煕アジュマの本にはちょっと「うさん臭さ」を感じたので 読んでいません。読んだのは、このブームの火付け役を果たした、藤村由加の 「人麻呂の暗号」(新潮社)のみです。この本で、万葉集は「万葉ガナ」だけ で書かれているのではないことを初めて知りました。    この「人麻呂」本をどのように評価したらいいのか、正直言って私は悩 んでいます。アレンカーさん、その悩みをすっぱり晴らしてくれませんか?    この本は多少荒削りなところはあっても、少なくとも学問的な姿勢で万 葉集を解明しようとしており、専門書の「説文解字」や「摂津風土記」を引用 するなどかなりの学問的知識を持った人が入念な調査・分析をした上で書いて いるだけに、私には完全なそしゃくは困難です。    また研究に際し、日本語や韓国語の古語の専門家である金思ヨプ教授の 協力を得ているようなので私の韓国語の実力ではとうてい批判は困難です(ヨ プの字は火扁に華)。そんなわけで枕詞、たとえば「あしびきの山・・・」の 解読を韓国語で示されると「あるいはそうかも知れない」と思ってしまうので す。たしかに「あし」も「ひく」も「山」も韓国語の古語の「タリ」や「タル」 に由来するといわれると「なるほど」と感心してしまいます。    感心はするのですが、ホンマかいな?と心の中は半信半疑です。ここに 私の悩みがあります。こんなわけで私はアレンカーさんによる「人麻呂」本の 本格的な批判を気長に待っています。その回答いかんで由加さんを「偽書」と してゴミ箱に捨てるか、あるいは「愛読書」として永久保存するか決めたいと 思います。    半月城


01629/01642 PFG00017 半月城 RE:人麻呂の暗号 (10) 96/05/29 00:27 01610へのコメント    リーチさん、こんばんは。万葉集の専門家にコメントをいただき心強い かぎりです。私の悩みが消え去る日もさぞかし近いことでしょう。    さて、ご質問の風土記の引用の仕方ですが、播磨国風土記が地名「稲日 野」の考証で引用されていました。また、摂津国風土記の方もたしかに引用さ れていたのですが本の中でちょっと探せませんでした。同じように地名の考証 に用いられていたと思います。    次に学問的手法ですが、4人の大学院生が書いたと思われる「人麻呂の 暗号」は荒削りで、ご指摘のとおり「かなの甲類乙類」の考察に欠けるなど問 題が多いことは確かです。 しかし、ここで私が問題にしたいのは「彼女たちの学問的手法」よりも、 彼女たちの「万葉集の謎の部分を古代中国語や韓国語で分析する」という発想 が荒唐無稽なのかどうかという点です。 こうした発想は彼女たちが初めてではないようです。彼女たちは本の中 で、金思ヨプ教授の「記紀萬葉の朝鮮語」という本に触発されて研究を始めた と告白しています。    リーチさん、この金氏の本は専門家の間でどのように評価されているの でしょうか? この本は私はまだ読んでいませんが、これはアレンカーさんの 分類の「偽書」なのでしょうか?    ここで話は横道にそれ、金思ヨプ教授を知らない人のために経歴を紹介 します。金氏は、大阪外語大学、京都大学で長年にわたり教鞭をとり、現在は ソウルの東國大学で日本学を研究している学者です。日本と朝鮮のつながりを ことばに焦点をあてて研究し、その対象は朝鮮の古い文献ばかりか日本の古典 「記紀萬葉」にまで及んでいます。   >金教授自身が、この本に対して何か文章を寄せているんでしょうか?    >だとしたら、協力してるのかも知れないけれど・・・・    この「雲の上の人」である金氏に、藤村由加さんたちは直接会って人麻 呂の次の和歌について意見交換をしたそうです(スペースは勝手に入れました)。      東野炎 立所見而 反見為者 月西渡 (ひむかし野に かぎろひの立つ見えて かえり見すれば 月かたぶきぬ) 6     5 5 7 7    この句は何だかぼけた感じのうたで、しかも「炎」を「かげろう」とし たり不自然さが目立ちます。また、和歌特有の57577調にもちょっとはず れ、さりとて漢詩にもほど遠いようです。    金氏はこの句を朝鮮語に直訳すると、4・4・4・4になり古朝鮮の詩 歌の形式と一致すると彼女たちに示唆したそうです。 なお、彼女たちはこの句にひそんでいる裏の意味を次のように解釈しま した(その過程は長くなりますので省略します)。     あの世とこの世の境 この東野に 亡き草壁の皇子のお姿が     炎のように立ち現れる     懐かしい想いでいるというのに     皇子はふたたび冥界へとむかわれる    このような隠れた意味を歌に読めるところが、渡来人(?)人麻呂の真 価であると本の著者は理解しています。  >もぐら叩き的に書いてきましたが、これら「萬葉トンデモ本」に共通する  >最大の弱点は「古代韓国語」とやらいうものです。私が、読まずに批判で  >きるのも、それが根拠です。 このあたりの本格的な解説をぜひお願いします。 半月城


01658/01658 PFG00017 半月城 RE:RE^2:万葉集の読み方? (10) 96/05/31 00:59 01651へのコメント 古代日本語    MUGIさん、万葉集リンクへようこそ。大歓迎です。私も素人です。遠慮 せずにどんどん書いて下さい。  > それは,万葉集には確かに難解歌とされるものが多くありますが,  >こうした読めない歌のほとんどは,単に現代人である私たちが歌の作  >者である古代の人々の心性を理解できていないことによるのではない  >か,ということです。    確かにそのとおりです。特に難解な人麻呂の歌は、彼の拠り所を知らな いと理解が困難なようです。先の#1629に書いた「東野に炎・・・」とい う歌について由加さんは、その次の歌「日並皇子の命の馬・・・」(巻1ー4 9)と併せて人麻呂が悲運の草壁の皇子「ひなみしのみこ」を読んだと解釈し ました。このような難解な句ほど多方面からの分析が必要であると思います。    古代日本語にくわしい大野晋教授は、初期の万葉集の用字法について次 のようにコメントを加えていました。   「巻一、巻二などは音もあり訓もあり、その他いろいろに当てて使う点で、 (新羅の)郷歌の書き方と同じなんです。だから私は郷歌(ヒャンガ)におけ る漢字の使い方をいろいろ専門家の方に伺いたいんだけれども、ともかく場合 によっては、「万葉集」の古い時代の書き方は、朝鮮から習ったものであり、 それを日本的に当てはめたものであると考えます」(大野晋編、「古代日本語 と朝鮮語」1974、毎日新聞社刊)。     大野教授がこのように考える背景には、大和朝廷に文字をもたらした渡 来人の地位を下記のように高く評価しているからです。   「私は、のちの時代になっても大和朝廷で文字のことを司っているのが全 部帰化人、渡来人の子孫ですから、当然漢人(あやひと)が文字を使っていた のであって、日本人が文字を使っていたというふうには考えないですね」 こうした事情を考えると、特に漢文混じりで書かれた初期の万葉集は朝 鮮からの渡来人の作品そのままかも知れません。このあたりの研究が十分でな いのはリーチさんが指摘されたように、古代朝鮮語の資料が少ないことがその 一因です。    そもそも、古代朝鮮三国の言語については未だによくわかっていないよ うです。百済・新羅・高句麗の言語はお互いに方言の関係であったのか、それ ともお互い外国語に近かったのかすら前掲書では完全には解明されていないよ うです。その本の中で、韓国で有力とされている仮説の一つとして李基文氏の 朝鮮語系統図が次のように示されていました。 夫余・韓、共通語ーーー原始韓語ーーー新羅語 | ーー原始夫余ーーー高句麗語 | ーー原始日本語ーーー古代日本語  百済は原始韓語を基調とし、その上に支配者の夫余の言語が重なったと しています。この李氏の説は日本でもかなり注目されたようです。李氏は「三 国史記」などから高句麗語を80語抽出し、そのうちの20余語が古代日本語 と一致するとしました。さらに、数詞の三、五、七、十の四語は日本語との対 応関係があると論文を発表しました。    もちろん、これに反対の学者もいます。金思ヨプ氏もそのひとりです。 リーチさんが書かれていた、  >ただ、『古代日本語と朝鮮語』という書を、少しかじったことはあります。  >その中の「奈良朝を起点とするそれ以前の古代日本語は、新羅語を基軸と  >する古代朝鮮語が話されていた」という主旨の一文を読んだとき、「???」  >と思ったのを覚えています。簡単にそんなこと言ってしまっていいのかな  >あ~、と。    というくだりは高句麗語説に反対してだされたものと思われます。金氏 の考えは、日本へ渡来人の波が三回あり、そのたびに日本語は影響を受けたと 主張しています。   第一回  紀元前三世紀から紀元前後まで。弥生文化の流入。 第二回  五世紀。        騎馬文化の流入。   第三回  六世紀以降。 今来(いまき)の人々。    これ以上くわしい説明を知りたいかたは「日本古代語と朝鮮語」を参考 にしてください。この本の著者は前にあげた方々以外に、荒 正人氏、梅田博 之氏、長田夏樹氏、金 両基氏、鈴木武樹氏、藤堂明保氏、馬淵和夫氏、山中 襄太氏などです。ただし、この本は二十年まえと古いのが難点です。なお、古 代日本語・朝鮮語について最新の情報をお持ちの方、ぜひ紹介して下さい。 そろそろアレンカーさんの出番では? 半月城


- FASIA MES(10):【アンニョンクラブ】    韓国・北朝鮮 96/06/03 - 01700/01701 PFG00017 半月城 日本語の起源 (10) 96/06/03 23:58 01678へのコメント    私は週末に吉備地方を旅行してましたが、その間に「とんでも本」のリ ンクがどんどん進んでしまい、今となっては何からコメントしたらいいのやら 迷うばかりです。そこでとりあえず自分にとって書きやすい所から書きます。  >服部四郎氏が言語年代学の立場から、日本語と朝鮮語との分岐年代を計算  >されておいででしたが、なんだか途方もない数値が出て、新羅だの高句麗  >だのということ自体が無意味なくらいの単位だったような記憶があります。  >あの方面の研究は、その後どうなったのでしょう? この両国語の分岐点はたしか弥生時代とされていたのではなかったかと 記憶しています。この考えは最近の考古学の成果からするとかなり有力と思わ れます。弥生時代は日本人の顔や形が大きく変化したことがよく知られていま すが、弥生時代の変貌は渡来人の影響であるとする考えが最近の文化人類学の 進歩でほぼ定説になってきました。    渡来説は1960年代、山口県土井が浜や佐賀県三津永田遺跡の弥生人 骨を分析した金関丈夫氏が提唱して以来論争の的になってきました。その後、 日本や韓国で多くの人骨が発見、研究されるにつれ、渡来説は不動のものにな りました。さらにそれを発展させた埴原和郎氏の「日本人の二重構造モデル」 が一般にかなり受け入れられるようになりました。    そのモデルによれば、縄文時代晩期から人口が特に希薄であった西日本 に、朝鮮半島などから寒冷地適応した面長、高身長の北方モンゴロイド、すな わち渡来人が稲作・金属器文化と共にやってきたとされています。 この波は古墳時代も継続し、渡来人の数は一千年間で40万ないし10 0万人にものぼり、やがて大和政権へと連なります。このころ、極端にいうと 西日本(一部を除く)は弥生人、東日本は縄文人という二重構造が定着し、そ の余波は現在も続いているという考えです。 私は、この西日本の弥生人によりアルタイ語系の日本語が形成されたと みています。こうした渡来人の波は千年にわたり何度も何度もあり、そのたび に「やまとことば」は少しずつ変化していったのではないかと思います。    ところで、渡来人の「ふるさと」ですが、時代によりその出身地はまち まちなようです。弥生時代初期に日本へやってきた人のふるさととして最近、 揚子江下流域の越族が特に注目されています。彼らは紀元前1000ー700 年頃、稲作文化と共に山東半島・遼東半島を経て南西朝鮮に渡り、そこで土着 し、さらに紀元前3世紀ころ北九州に渡来したのではないかと思われます。 彼らが築いた国や邑が韓国では馬韓諸国や弁辰、日本では菜畑遺跡や吉 野が里遺跡などであったのではないかと想像しています。    これを裏付けるかのように、山東半島から弥生人に似た人骨をたくさん 発見したと「土井が浜人類学ミュージアム」の松下館長が報告しています。も ちろん、韓国でも慶尚南道の礼安里遺跡などから似た人骨が発見されています。    さらに、時代がくだって古墳時代になると北方騎馬民族が三韓諸国を征 服し、さらに日本へ上陸し支配者階級になったものと推定しています。    こうした幾重にもわたる渡来文化の波が日本語の起源をむずかしくして いることだけは確かなようです。  >否定的なことばかり書いていても面白くないので、次は余明軍とか葛井広  >成など、本物の渡来人系作者の作品紹介でもしましょうね(^-^) リーチさん、お願いします。 半月城


- FASIA MES(10):【アンニョンクラブ】    韓国・北朝鮮 96/05/18 - 01459/01459 PFG00017 半月城 RE:在日と韓国人って? (10) 96/05/18 17:40 01416へのコメント 国籍     さわさんの質問にはソラボルさんがすでに答えていますが、それに少 し補足したいと思います。 >え~と。最近、韓国関係の本を、何冊か読んで疑問に思ったのですが、最近、 >日本に永住目的でやってくる韓国人が少なくないとありました。 日本に永住目的で来るのはかなりむずかしく、韓国人の場合ほとんど日 本人または永住外国人の配偶者(主に妻)になるケースに限られるのではない かと思います。    その数はちょっとつかんでいませんが、おそらく年に数百人程度と推定 され決して多くはないと思います。その場合の国籍ですが、日本人の妻になっ た場合は、法定の5年以上経ってから日本人に帰化するケースが多いようです。     >確かに、東京にも韓国人が増えて、あちこちにコリアタウンができているよ >うな気がします。 観光目的の韓国人は確かに増えています。しかし、定住している韓国・ 朝鮮人は約68万人と、ここ10年くらいあまり変化していません。    一方、コリアタウンといっても今に始まったのではなく、昔ながらの上 野、川崎、強いていえば麻布、三河島くらいなものでしょうか。もっとも、川 崎のコリアタウン計画は挫折しましたので川崎もコリアタウンとは呼べないか も知れません。   >在日韓国人の中には、2世、3世でも国籍を朝鮮籍(韓国籍)のままで、日 >本国籍を取得しようとしない人がいますが、彼らの間で交流はあるのでしょ >うか?    私は日本国籍を取得しようとしない韓国人二世のひとりですが、 その理由をかって FWORLDCに載せたことがあります。それを一部書き直して転 載します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 帰化に対しての考え方は世代によりかなり異なります。特に在日1世 には相当な抵抗感があります。その背景にはもちろん日本と韓国との間の不幸 な歴史が影をさしています。この一世の世代は言うまでもなく日本の植民地支 配時代にありとあらゆる苦難を背負って来た人たちです。    そもそもこの人達の来日自体が強制連行されたケースが少なくないの です。しかも異境の地、日本では炭坑、鉄道、ダム建設などの苛酷な3K職場 で低賃金で働かされ筆舌に尽くしがたい艱難辛苦を背負ってきた世代です。ま た、はなはだしくは宋神道さんのように慰安婦にさせられ日本軍人の性欲のは け口のために性の奴隷にされ、青春や家庭を奪われたのもこの世代です。 この1世たちの大半は日本という国家により自分の生涯を踏みにじら れた人たちで、骨の髄まで日本に対する恨みや憎しみがしみ込んでいる世代で す。それに加えて、日常の習慣や物の考え方など日本にはなじまないことも多 く、言葉すら日本語を十分話せない人がけっこういるものです。そのかたわら 故郷には肉親や親戚がいる場合が多く、祖国指向がその人のバックボーンにな っていると言っても過言ではないと思います。従って、この世代はたとえ帰化 にどんなメリットがあろうとも自分から進んで帰化することはまず考えられま せん。 次に2世はどうでしょうか? 2世の場合、その受けた教育により考 え方に大きな開きがでてきます。特に、自分は「朝鮮人である」という自覚を 持っている人は、だいたい朝鮮学校で本格的な民族教育を受けた人で民族的な 誇りを持って生きようとする人たちです。こうした人たちは帰化については1 世の後継者的な考え方をするので帰化をする人は少ないようです。 一方、これ以外の2世の考え方は千差万別です。その生き方をおおざ っぱに分けると  1。差別などの現実に耐えられず、これから逃れるために帰化をする  2。帰化はしたいけれども手続きが面倒なので放置する。  3。民族の一員として誇りを持って生きるのを信条とし、差別などの現状に   進んで立ち向かう。  4。確固たる信念はないが、さりとて差別から逃れるために帰化するのを潔   しとしない。この背景には、帰化は1世に対する一種の「裏切り」である   という意識を持っている場合が多い。     ところで帰化と言えば当然国籍の変更を伴いますが、この点に関して 私たちには見過ごすことができない重要な事実があります。私の例を引き合い に出して説明します。    私の現在の国籍は「韓国」ですが、これは3番目の国籍にあたります。 最初の国籍は日本とされました。それがいつの間にか「日本国籍」は消えて国 籍は一律に「朝鮮」とされました。さらにその後、私の両親が政治的な理由で 国籍を「韓国」に変えました。 この経過の中で、日本国籍の「消滅」は問題の多いところです。特に 日帝時代に日本軍人として活躍した同胞の場合、この措置はあまりにもむごい ものになります。このような日本の「国策」の協力者の「皇軍兵士」を一夜に して外国人という口実をつけて放り出してしまうなんて日本政府のやり方もあ こぎなもんです。     こうした日帝の協力者、裏を返せば祖国の裏切り者に対して韓国政府 はもちろん手をさしのべるはずはありません。この人達は身も心もたぶん「天 皇」に捧げたと思われますが、はたしてこの人達を「日本人」以外の外国人と して考えることがそもそも可能でしょうか?     このような「帝国軍人」が戦争でけがをして「傷痍軍人」として復員 しても純粋な日本人とは違って軍人恩給などの補償は一切貰えません。必要な 時は「天皇の赤子」として利用し、用がなくなると外国人という理由で切り捨 ててしまうなんて血も涙もないやりかたです。     なお蛇足かも知れませんが、この人達はたとえ帰化を申請してもとう てい認められないことを付け加えます。戦後のある時期、上野公園で白衣を着 て残された片手片足でアコーディオンを奏で道行く人の情けにすがるような生 活困窮者に、非情な行政当局は決して帰化を認めようとはしません。前回も書 きましたが、帰化はそれほどなまやさしいシロモノではありません。     こうした現実を知れば知るほど、私たち2世の帰化は「1世への背信 行為ではないのか?」という疑念が強くなります。さらに、差別などのデメリ ットから逃れるための帰化申請は「負け犬」のやり方ではないだろうか、とい う思いも頭をかすめます。その一方では、定住韓国人の一人として日韓友好の 架橋の一助など、それなりの役割をになえるのではないだろうか、という自負 もちょっぴりあります。 こんなわけで、私は生涯日本人には帰化しないことに決めています。 半月城


01701/01701 PFG00017 半月城 RE:はじめまして満月上です (10) 96/06/03 23:59 01674へのコメント    私のハンドルネームによく似た「満月上」さんの名前にひかれて一言感 想を書きます。 Pさんも後輩も同じ法律学徒と見受けられます。法律家はディベートが 専門のはず。両者まず徹底的に話し合うのがいいのではと思います。そうした 過程をとおしてクラブは成長するものです。逆に、それでつぶれるような情け ないクラブなら潰れてもいいのでは、といったら無責任かも知れません。    また、法律学徒が「民族団体」を恐れるなんてちょっと信じられません。 なぜ恐れるのかその理由を知りたいものです。     半月城


01721/01721 PFG00017 半月城 RE:はじめまして満月上です (10) 96/06/04 23:01 01704へのコメント 差別感覚  >差別が「無知の産物」と言われるように、後輩にとっては、  >人生で初めてといっても過言ではない、耳慣れない「民族団体」  >という響きに恐れを為す事も、それは仕方がないのかなと  >思いました。  服部 淳一さんや満月上さんの発言から、ある話をとっさに連想しまし た。その話とはNHKラジオの大杉「英語会話」のテキストにあったスキット です。    場面はあこがれのアメリカを旅行中の佐野由美が、友人のトミーと薄暗 い歩道で黒人の二人連れとすれ違う直前のシーンです。  由美 「トミー、あの人たち大丈夫かしら?」  トミー「ユミ、それどういう意味?」  由美 「黒人が近くに来ると何となく不安なの」  トミー「ミス佐野、あなたは黒人は怖くて、日本人は安全と言いたいの      ですか?」 由美 「トミーったら!」    さて、次のエピソードは我が社のセックスアニマルの思い出話です。彼 はアムステルダムの飾り窓での追憶を酒席で次のように真顔で語っていました。   「黒人と寝たら、黒いのが移るんじゃないかと気がかりだった」    これなど「無知の産物」というより、「肌」で感じる感性的なものです。 程度の差はあっても、かく言う自分にもこうした感覚はあるのかも知れません。 半月城


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